取材活動にスパイ容疑。ロシアが北海道新聞記者を拘束した背景

ロシア連邦保安局は10月13日、極東サハリン州で北海道新聞ユジノサハリンスク支局の男性記者を拘束したと発表しました。容疑はロシアの防衛能力に関する情報を収集したスパイ行為で、記者はモスクワに移送され、逮捕されたということです。外務省は14日、日本に駐在するロシアのノズドレフ大使に強く抗議しています。10月15日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、ロシアでの取材経験を持つジャーナリストの北辻利寿さんに、拘束の背景や今後の見通しについて伺いました。
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宮部和裕アナウンサーは、新聞記者の逮捕は報道の自由にも関わる問題だと話します。
宮部「ちょっとこれは現実世界なのかという逮捕案件が出ました」
日本の報道機関がロシアに置く支局はモスクワが中心で、JNNも同様です。一方、北海道新聞は北方領土やサハリンの動きも追うため、極東のユジノサハリンスクに支局を置き、記者が常駐しています。
ジャーナリズムと今回疑われているスパイ行為は別の問題ですが、ロシア当局は証拠も示さないまま記者をモスクワへ移送しました。
ユジノサハリンスクからモスクワまでは7000キロ近くあり、直行便でも8時間かかります。北辻さんは、その距離にも驚いたといいます。
取材とスパイの境界
ヨーロッパ特派員としてウィーンに駐在していた頃、北辻さんはモスクワへ4回ほど取材に訪れ、そのたびにロシア政府から取材許可証を受け取っていたそうです。拘束された記者も同じ許可証を持っていたはずだと話します。
北辻「報道活動、ジャーナリズム活動を認められてた人間が、こうしてスパイ容疑で拘束されるっていうことは、ものすごくショックだし重いことですよね」
ロシア側は、捜査員がホテルの部屋に入っていく写真や映像を公開しています。
記者は任期を終えて帰任する直前でした。容疑は、北方領土などからウクライナへ送られた動員兵や志願兵の数について情報を集めていたというものです。
北辻「これ当然、取材として聞きますよね?それをある種、日本の情報機関に漏らしたみたいな容疑なんですけど。取材活動自体がスパイ容疑に見られたっていうことでしたね」
北辻さんは「今後どうなるのかわからない衝撃的な事案」と続けます。
緊張が増す日露関係
背景にあるのは日本への圧力だと、北辻さんは指摘します。8月にはプーチン大統領が北方領土の択捉(えとろふ)島を初めて訪問し、大掛かりな軍事演習も行なわれました。
さらに日本政府は10月2日、ウクライナ侵攻に対する追加制裁を発表したばかりでした。ロシア産の原油を運ぶいわゆる影の船団や軍事関連企業に対し、資産凍結などを科す内容です。
北辻「今月に入って、日露関係がさらに緊張が増しているなかでこれが起きたということ」
択捉島には中国の政府関係者や実業家たちも訪れ、ロシアと中国で北方領土を開発しようという動きがありました。中国は北方領土をロシアのものと認めたうえで訪問したことになると、北辻さんは話します。
北辻「日本との緊張関係が続く中国がここに関わってきてて、非常に複雑な図式の中で起きてたっていうことなんですよね」
日本に交渉のカードは
宮部は、面会どころではない状況のなか、記者本人の安全と今後の裁判の行方を案じます。
拘束は最低でも2か月、12月12日までになる見込みです。有罪となった場合は、10年から20年の拘禁刑となる可能性も取り沙汰されています。
3年前には、アメリカの新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記者が拘束され、拘禁刑16年の判決を受けています。このときは、アメリカとロシアが収監している人物の身柄を交換する形で解放されました。
北辻「日本にそのカードがあるのかどうかも含めて、日本政府、しっかりと対応していただきたい事案ですよね」
(minto)
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