第1話|「小豆洗い」 |
豪雨の山道、崖から落ちそうなところを百介は人間離れした雰囲気を持つ御行・又市に助けられる。一刻も早く安全な場所へ戻らねばならない。 獣道を急ぐ百介は林を抜けたところで一軒の古ぼけた屋敷に出くわした。 ふと見ると、同じように豪雨の中道に迷った僧侶が立っている。 円海というこの僧侶、店の看板「備中屋」という文字を見て心中穏やかではない様子。 しかしとにもかくにも百介と円海は豪雨がおさまるまでここで雨宿りをすることになった。 店の主人、徳右衛門に案内され中に入ると、なんと先ほどの又市が艶めかしい白い肌の女・おぎんと雨宿りをしていた! 百介が再会に驚いているところへ円海が怯えた声を上げる。 どこからか小豆を洗うような声が聞こえてくるのだ。怪談を集めた百物語を作っているため 物の怪に詳しい百介によると、これは「小豆洗い」という妖怪であるという。 「小豆洗い」。実はこの備中屋には、この物の怪に深く関わる因縁があったのだ。 話は10年前に遡る。徳右衛門の話が進むにつれ、円海の表情は恐怖にこわばっていくのだった・・・。 |