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 「小説作品を払しょくするようないいものにしてほしいですね」と語るのはカリスマ的人気作家・京極夏彦さん。自身の作品が初めてアニメーション化されるにあたり、この度、東京都内の スタジオで京極さん自らもアフレコに挑戦、アニメオリジナルキャラクター「京極亭」の声を演じた。
 着物に羽織、そしてトレードマークの手袋をしてアフレコに臨んだ京極さん。「ナレーションの仕事は結構していましたが、私は小説家。レッスンとかは一切やってませんよ」とのことだが、声優としても非凡な才能を発揮した。「どうせ、客寄せパンダ的な色物あつかいなのでしょ?」と冗談を飛ばしながらも、監督からの「ヤクザの親分みたいにやってほしい。ただインテリヤクザみたいに紳士的で慇懃無礼にお願いします」との難しい注文に、要望以上の演技を披露した。今回演じた役は主人公・又市一味の黒幕的存在で「京極亭」というアニメオリジナルのキャラクター。実は京極さんは以前、自身が脚本を担当した「ゲゲゲの鬼太郎 スペシャル」でもゲストキャラに声優として出演したこともあり、今回でアフレコをするのは3度目だという。
 作品がアニメ化されることについては
「自分の作品は小説です。だから、今回はアニメに素材を提供しているだけだと思っています。つまり私は高級レストランに素材を提供している豆腐屋さんみたいなものです。その豆腐を麻婆豆腐にしようが、湯豆腐にしようが、冷や奴で食べようが、それは作る人の自由。原作者の私がアニメという作品に口を出すモノではない。制作者側が納得のいくようにやってほしいと思っています。この監督、このアニメーター、この脚本家がつくると巷説百物語はこうなるということです。原作を忠実にしてつまんなくなるくらいなら、どんどん変えていってほしいですね。一視聴者として、できあがりを非常に楽しみにしています。」と語る。
 また、アニメの絵はイメージとあってましたか、との質問には
「そもそも、原作者というのはイメージを持ってはいけない。小説は読んだ人がイメージするものです。読む人が100人いれば、100通りのイメージがある。同じイメージを持つ人はいないはずです。ただ、先行して世の中に小説があるので、アニメ作品に対して納得する人、しない人がいると思います。ですが、小説を払しょくするくらい面白いことができるのがアニメの醍醐味。現場の意欲がものすごく感じられますし、その出来には大変期待します。是非、一般の方にもご覧になってほしいです。」という。
そして「現場の意欲がものすごく感じられる」と京極さんが言うように、今回はスタッフ、声優陣にも“京極さんの作品のアニメ化に是非携わりたい”というメンバーが集結。主人公・又市を演じる中尾隆聖さんもその一人だ。中尾さんといえば、アニメ「それいけ!アンパンマン」のばいきんまん役で有名だが、原作の大FANとのことで、「アニメ化されるということで意気込んでオーディションをうけました!京極先生の大FANなんですよ。この作品はセリフにリズムがあるんですよね。字の使い方、言葉の使い方にほれて、これは“しゃべってみたい”と思ったのです。」と意気込みを語る。
京極さん演じる「京極亭」はこの又市との掛け合いがほとんどなのだが、さて、どのような演技だったのか?
「京極夏彦~巷説百物語」は今秋10月からの放送。京極夏彦さんの熱演にも注目だ。

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