火は穢れを祓う。
火おんどりでは、
太鼓や囃子にのって8の字を描くように 振りかざして踊る。
そこには「非業の死を遂げた 戦乱の世の人々の魂を慰める」という、
今の時代の人々の祈り、 思いが込められている。
1575年(天正3)5月21日、
「長篠の合戦」は 織田、徳川連合軍が武田軍を下した。
激戦の地、竹広地区の村民は 戦没者を手厚く葬ったが、
その塚からは蜂が大量発生し村に害を与えた。
村民は、
蜂は姿を見せなくなったという。
その不思議な伝説の世界観の下、
今も敵味方なく「両軍の戦死者」を祀った 先祖の心に思いをはせながら、
450余年、 休止することなく続けてきた 祭り人の心情を解き明かす。
コロナ禍にあっても戦死者の霊を慰めたいと、
今年は松明の数を減らし、
観客を入れずに地元関係者だけで執り行う。
それは、むしろ 「原型」ともいうべき祭りになると、 関係者は語る。