BACKSTAGE(バックステージ) ”挑戦”に秘められたこだわりと仕事愛
CBCテレビ製作/TBS系全国28局ネット
毎週日曜よる11時30分
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日本一利用者の多い、東名高速道路「海老名サービスエリア」。下り線は特に利用者が多く、多い日で1日約6万人以上が訪れる。そんな海老名SAをBACKSTAGEで支えているのが、トイレ清掃スタッフのリーダーとして活躍する山口友子さん。海老名SA下り線には3か所のトイレがあり、便器の数は224個。それら全てを山口さん含むたった7人のトイレ専属清掃スタッフで、綺麗に保っている。
日本で最も多くの人が訪れるSAだからこそ、トイレを利用する人の数も多い。それにも関わらず、トイレの中はとても綺麗。
「SA のトイレは、『くさい』『汚い』がつきものだった。『今は違うよ』って自信をもって言える」
美しさの秘密は、スピード。お客さんがいないタイミングを見計らい、素早くこまめに清掃を行う。山口さんが小便器1つを清掃するのにかかった時間は、わずか53秒。その短い時間の中で、内側全体をスポンジでこすり、細かい部分はブラシ、外側はぞうきんを使って、隅々まで磨きあげる。そして、便器の裏などの見えない部分の汚れも手鏡でチェック。臭いの原因につながってしまうため、わずかな汚れも見落とさない。さらに、個室では脂などに反応するブラックライトを当てて、目に見えない汚れまで徹底的に落としていく。
清掃に使う道具は、スタッフによってさまざま。自分好みのものを選んで使用している。山口さんの掃除道具を見せてもらうと、ブラシだけでも13種類。トイレの中のあらゆる場所を掃除するため、用途に適した道具が必要だ。なかでも、洗面所は山口さん曰く特に清掃が難しい場所。細かい隙間がたくさんあるため、道具を使い分けながら掃除を行っていく。
トイレには、お客さんを気遣うちょっとした工夫もある。洗面台に置かれた水中花は、清掃スタッフによる手作り。“お忘れものはございませんか?”と書かれたシールが貼られている。
「お客様の目に触れれば、忘れ物も減るかな」。
お客さんからの「ありがとう」が、山口さんの働く原動力。これからも細やかな技術と心配りで海老名SAを支えていく。
SAでは、飲み物を購入する人も多い。続いて密着したのは、自動販売機のメンテナンスを行う栁田航太さん。海老名SAには40台ほどの自販機があるが、そのうち11台が栁田さんの所属する会社の自販機。栁田さんは、その全てのメンテナンスを1人で行っている。
会社からSAの倉庫へ運んだ飲み物をいくつか取り出し、台車に載せて自動販売機に持っていく栁田さん。行うのは、飲み物の補充。およそ150本を5分ほどで素早く補充し、次の自販機へ。お客さんが多い日は、1時間放っておくだけで売り切れてしまうこともあるため、11台の自販機を何度もまわりながら、補充作業を繰り返す。
「売り切れないように、プライドを持ってやっている」
今度は、1回ごとに豆を挽いてドリップするタイプの自販機の清掃。ホースを使って中を綺麗に洗っていく。コーヒーの鮮度を保つためには、豆の補充をはじめとする細かいメンテナンスが欠かせない。清掃にかかる時間は1台およそ30分。少しでもおいしく飲んでもらえるように、忙しくても決して手を抜くことはない。長旅に疲れたお客さんにおいしい飲み物を提供するため、今日も栁田さんはSAを走る。
最後に密着したのは、海老名SAのコンシェルジュとして活躍する三木遥さん。コンシェルジュの仕事は、お客さんのあらゆる困りごとやトラブルに対応すること。三木さんのいる受付カウンターには、さまざまなお客さんがやってくる。さっそくやってきたのは、1人の男性。熱海までの行き方が分からないようだ。道順を教えるだけでなく、料金所でなるべく右側から出るようにと車線の情報まで伝える三木さん。熱海へ行く際は厚木の料金所を通るが、出口が最大14個もある。初めての人はどこから出ればいいか迷ってしまうが、右側から出ればスムーズに熱海行きの道路に接続できるのだ。続いて、お客さんからの連絡を受けて、落し物を探しにカウンターの外へ。1日約6万人が利用するため、落とし物の数もその分多い。財布や携帯電話に並んで多いのが、お土産の落とし物だという。
1日に多い日で200件の問い合わせがあるというコンシェルジュ。その仕事は、お客さんの対応だけにとどまらない。見回りや、ゴミ拾い、授乳スペースの清掃、さらにはSAにある旗の上げ下げなど、さまざまな仕事をこなしていく。今度は、バスの出発時間なのにお客さんが来ないという問い合わせ。三木さんがすぐさまアナウンスで呼びかけたことで、無事バスに間に合ったようだ。
どんな場面でも笑顔を絶やさない三木さん。そこには、「お客さんには常に笑顔で対応したい」という思いがある。いつも快適なサービスエリアの舞台裏には、それぞれの仕事を全うするプロたちの存在があった。