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BACKSTAGE(バックステージ) ”挑戦”に秘められたこだわりと仕事愛

CBCテレビ製作/TBS系全国28局ネット
毎週日曜よる11時30分

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2019年8月11日放送
第18回

日本一利用客が多い「羽田空港」!巨大飛行機を定時出発させる舞台裏

カンニング竹山 カンニング竹山
谷まりあ 谷まりあ

巨大な飛行機を動かす グランドハンドリング 橋本歩実さん(26歳)

巨大な飛行機を動かす グランドハンドリング 橋本歩実さん(26歳)

乗客約500人を乗せる“巨大沖縄便”グランドハンドリングで定時出発を目指す

日本で一番利用客の多い「羽田空港」。国際線も数多くあり、利用客数は世界5位。なかでも、繁忙期となる夏の時期は、1日20万人以上が訪れる。そんな羽田空港をBACKSTAGEで支えているのが「全日空」通称ANA のグランドハンドリングとして活躍する橋本歩実さん。

グランドハンドリングは、航空機の誘導や荷物の積み込み、出発準備などを行う離陸に欠かせない仕事。専門知識が必要となるため、業務を行う上でさまざまな資格が求められる。機械の操作法や機体の誘導など、その数100以上。業務は3人1組のチームで行い、1日に約7便を担当する。主な仕事場は、空港の駐機場。日陰がほとんどなく地面の照り返しも強いため、スタッフ事務所には、熱中症対策として大量のクーラーボックスやスポーツドリンク、瞬間冷却グッズなどが用意されている。

この日、橋本さんが担当するのは、ANAの国内線の中で最も大きい、通称「トリプルセブン」と呼ばれる機体。乗客数は最大514人。コンテナは44台。最大積載重量は77トンにものぼる。12時5分に到着した航空機を、12時55分に沖縄へ出発する予定だ。限られた時間の中で、全ての荷物を積み替えて出発させなければならない。スピーディな作業が必要だ。

到着した航空機の機体に、橋本さんが太いケーブルを挿すと、飛行機のエンジンがストップした。これは、地上電源用のケーブル。着陸後もエアコンや照明を使用するために、エンジンから地上電源に切り替えコストを抑えている。続いて、橋本さんは“ハイリフトローダー”といわれるリフトを運転して機体に近づけていく。コンテナを運び出すためには、リフトを機体ギリギリまで近づける必要がある。ただし、少しでも機体に接触して傷をつけると飛行機を飛ばせなくなるため、慎重さが欠かせない。リフトを停止させたら、今度はカーゴルームの中へ。ローラーを使ってコンテナを動かしていく。手際良く作業を進め、乗客229人分の荷物と空輸便、合わせて32台のコンテナを機体の外へと運び出した。

出発まであと18分。今度は、荷物の積み込み作業。飛行機はバランスが悪いと飛び立てないため、コントロールルームで調整された指示書をもとに、貨物を機内へ搬入する。コンテナを運ぶ際には、リフトについたローラーを回転させて運んでいくが、ここでトラブルが発生。雨でローラーが滑り、コンテナが動きづらくなってしまったのだ。ローラーの滑りが収まらないまま、刻々と時間が経過。乗客も機内へと移動していく。そして、エンジンもスタート。応援に駆けつけた仲間とともに荷物を運び、ようやくコンテナの積み込みが終了した。

そして、最後の大仕事。
「どの作業も緊張感を持ってやっていますが、最後のプッシュバックは特に緊張します」。
プッシュバックとは、特殊車両を使って機体を後方へ移動させること。橋本さんが用意したのは、巨大な棒。まずは、それを機体のタイヤに取り付け、プッシュバックを行う車輌に連結させる。準備ができたら、運転開始。微妙な力加減でアクセルを踏みながら、重量200トン以上もある飛行機をゆっくりと動かしていく。まっすぐ後ろへ押し出したら、飛行機を回転させながら誘導路へ。センターラインに合わせて、正確に機体を停止させた。到着の遅れや、雨によるハプニングがあったものの、安全かつ迅速な作業で大幅に作業時間を短縮。飛行機が無事沖縄へと飛び立った。

橋本さんたちの仕事は、お客さんと接する機会はほとんどない。それでも、その頑張りを見ているお客さんから感謝の言葉が届くことがあるという。
「お客様の声を聞くと、頑張っていてよかったなと思います」
駐機場で汗を流すグランドハンドリングに支えられ、今日も飛行機が大空へと飛び立っている。

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