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偽りのアサリ ~追跡1000日 産地偽装の闇~

2022年3月30日(水)午後9時00分~9時57分 放送

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追跡取材3年…記者が見た
“アサリ産地偽装”の現場

「闇に埋もれてしまうかも
しれない」危機感

吉田駿平
CBCテレビ 東京支社営業部
(去年 報道部から異動)

愛知県の豊橋支社駐在記者だった5年前。私はその噂を耳にしました。

「中国・韓国産の輸入アサリが熊本産に偽装されて売られている」

スーパーには、漁獲量が少ないはずの“熊本産”アサリが安く、大量に流通していました。
産地偽装が事実なら、食の信頼を揺るがす大問題…そんな思いから取材を始めました。
関係者への取材を重ねる中で、輸入アサリを日本の干潟に放つ「蓄養」と呼ばれる行為が産地偽装に深く関係していることを知りました。
有明海で張り込みを続け、2019年にその一部始終をカメラに収めることができたのです。

その後、私は他部署に異動になり、記者職からも離れました。 ここで諦めたらこの問題は永遠に闇に埋もれてしまうかもしれない…異動後、大規模な産地偽装の当事者にたどり着き、顔出し・実名で証言してもらうよう交渉を重ねました。

5年にわたるこの取材が、産地表示の裏に潜む様々な問題を知ってもらうきっかけになればと願っています。

「偽装しないと売れない」現実

吉田翔
CBCテレビ 報道部

私が吉田駿平から取材を引き継いだのは、産地偽装の当事者へのインタビューからでした。

「ほぼ100%偽装品」「嘘で塗り固められた業界」「書類の書き換え」
「長年続いてきた偽装を断ち切りたい」と告発を決心してくれた当事者の証言に、事の重大さを思い知りました。
「利益を乗せるために偽装するのではなく、偽装しないと売れなかった」という言葉が耳に残りました。

「報道特集」で放送後に行政が動き出し、産地表示が偽装“熊本産”から正しく「中国産」に変わり始めました。しかし、中身は同じなのに「中国産」とラベルが貼られると多くの消費者は購入に難色を示したのです。「偽装しないと売れない」現実をいま、目の当たりにしています。

「安い国産」を求める消費者、その消費者を忖度する小売店、その小売店を忖度する卸売り業者と輸入業者。長年“忖度”のバトンを断ち切れず、アサリ産地偽装の闇はどんどん深くなっていきました。短絡的な結論を求めず、今後もこの複雑に絡み合った問題の本質をじっくりと探っていきたいと思います。

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