CBCテレビの3年に及ぶ取材で明るみに出た
“熊本産”アサリの産地偽装。
私たちが“熊本産”だと信じて食べてきた
実は“中国・韓国産”だったのだ。
ことし1月の報道後、視聴者からの反響は
国も熊本県も全国のスーパーも 一斉に対応に動き出した・・・
「偽りのアサリ」を
そこで見えてきた ニッポンの食が抱える闇とは!?
ドキュメンタリー番組としては異例の
午後9時から放送することに…。日本の食卓に欠かせないアサリ。
国内で流通している活アサリの約9割が中国・韓国からの輸入品。
都道府県別では漁獲量一位が愛知県、二位が北海道だが、スーパーに並ぶのは漁獲量が極めて少ない“熊本産”ばかり。
一体なぜなのか?
愛知県の漁業関係者からこんな話を聞いた。
「中国・韓国産アサリが熊本産に偽装されている。スーパーや消費者は安い熊本産を選ぶので愛知産はなかなか買ってもらえない。」
取材班は3年前、熊本県の有明海の干潟に向かった。
ここに中国産のアサリが集まってくるという。一体どういうことなのか?
干潟に数日間、張り込んでみると“中国産”が“熊本産”に化けるカラクリを目の当たりにした。
2019年6月にCBCテレビの夕方「チャント!」で“熊本産”アサリの産地偽装について、初めて報道したが・・・その後も熊本県や国は対策に乗り出そうとはしなかった・・・
2019年OAのアサリ産地偽装
“熊本産”アサリの大規模な産地偽装は間違いない・・
それでも、動かない行政・・さらに決定的な証拠や証言を得て報道しなければ、この問題は永遠に埋もれてしまうかもしれない。その後も、粘り強くアサリ業界の関係者と連絡を取り続け、去年、大規模な産地偽装に手を染めた当事者にたどりついた。
当初は難色を示していたが、長年続いてきた偽装を断ち切りたいとの思いから実名・顔出しで告発を決意。今年1月、JNN「報道特集」で伝えると世の中が大きく動き出した・・
報道から10日後、熊本県の蒲島知事は
“熊本産”アサリの2か月間の出荷停止を発表。
同じ日に農水省は「熊本産表記のアサリの97%に外国産混入の可能性」と発表した。
その結果、全国のスーパーから“熊本産”アサリが消えた・・
だけでなく、アサリそのものを扱わなくなったスーパーが続出した。
パックの中身はこれまでと全く同じアサリにもかかわらず、“熊本産”の表記を“中国産”に変えると、急にアサリが売れなくなった。
取材班は産地偽装していたアサリ業者の言葉を思い出す。
「産地偽装をしないと売れないから・・」
この番組は「偽りのアサリ」を追い続けた1000日の記録。
そこから見えてきたのは、行政、業者、スーパー、消費者が複雑に絡み合ったニッポンの食の闇だった。
- スタッフ -
取材:吉田駿平・吉田翔
撮影:馬場勇樹・行重祥吉
音声:糠信領佑 WEB:河野浩之・江邑竜也
編集:村山翔太 題字:新田夕岐子
音響効果:柴田勇也
プロデューサー:松本年弘
- 制作 -
CBCテレビ 報道部