お医者さん飛行士が宇宙へ!

北辻利寿

2017年12月18日

【CBCテレビ イッポウ金曜論説室】

日本人の宇宙飛行士としては12人目になる金井宣茂(かない・のりしげ)さんが、
12月17日にカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から、ロシアの宇宙船ソユーズに搭乗して、宇宙へ向かいました。

金井さんは東京都出身の41歳。2002年3月に防衛医科大学校を卒業後、海上自衛隊で医師として勤務しました。
そして2009年にJAXA(宇宙航空研究開発機構)に入社して、ISS(国際宇宙ステーション)の搭乗宇宙飛行士に選ばれました。
専門は、ダイバーや潜水艦乗組員の体調を管理する「潜水医学」です。

金井さんは日本人としては12人目の宇宙飛行士ですが、これまで宇宙へ行った日本人をふりかえってみましょう。
第1号は、当時TBS(東京放送)社員だった秋山豊寛さんです。1990年にソユーズで宇宙に向かい、宇宙船ミールから地球の映像を生中継するなど「宇宙特派員」として活動しました。
続いて1992年の毛利衛さんは、日本人として初めてNASAのスペースシャトルで宇宙に向かいました。
この他、向井千秋さん、若田光一さんらおなじみの顔ぶれが名前を連ねています。

世界に目を向けましょう。JAXAのまとめによりますと、2017年9月現在で宇宙に行った人は世界で555人。日本人11人はドイツと並んで第3位の高い位置を占めています。
上位の二国はロシア(旧ソ連)とアメリカで、ロシアが123人で第2位、アメリカが340人で第1位と、やはり宇宙開発ではこの二国が文字通り"けた違い"です。

金井さんの仕事場となるISS(International Space Station:国際宇宙ステーション)には世界から15か国が参加、様々な研究に取り組んでいます。
ステーション全体の大きさはサッカー場くらいと巨大で、地球を90分で1周しています。一日あたり16周していることになり、木星並みの二等級ですから、条件が合えば地球からもその姿を見ることができるということです。

金井さんは、ISSの一角にある日本の実験棟「きぼう」に滞在して、船内を移動しながら実験や研究活動を行ないます。テーマは医師らしく「健康長寿のヒントは宇宙にある。」宇宙環境と人体との関係や、宇宙実験を通しての新薬開発などに取り組みます。
ISSに滞在する金井さんたち宇宙飛行士は、余暇には音楽鑑賞やDVDで映画鑑賞を楽しんだり、IP電話で地球にいる家族や友人と会話をしたりするそうです。
またステーション内にある運動器具で毎日トレーニングを行い、健康維持にも努めるそうです。

日本人12人目の宇宙飛行士・金井さんは打ち上げ2日後にはISSに到着予定で、
およそ半年、国際宇宙ステーションに滞在するということです。

【イッポウ「金曜論説室」より  by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】