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#513 3月26日

「心遣いを粋に包む ぽち袋」
東京都文京区(JR東海道新幹線・東京駅)

心ばかりの謝礼に渡す小銭を包むぽち袋。“ぽち”は、“これっぽっち”“ほんの少し”という意味。江戸時代、芸能界や花柳界などで広く愛用されます。粋を好む江戸っ子が、渡す相手を思い、洒落をきかせ、工夫を凝らした遊び心あふれる絵柄が生まれました。

「ありがとう」「ご苦労様」、そんな感謝の気持ちと心遣いを包むぽち袋。
粋な絵柄に摺り師の技が冴えます。
   
江戸時代、芸能界や花柳界などで広く愛用された、ぽち袋。
“ぽち”は、“これっぽっち”“ほんの少し”という意味を持つ言葉。
心ばかりのお礼に渡す小銭を包む袋のことです。
お金をむき出しで渡すのを好まない日本人の感性と、江戸っ子の粋な遊び心から生まれたと言います。
   
辻が花染の基本は、絞り染め。
そこに筆を加え、刺繍を施し、奥行きのある模様を作り出していきます。
模様が複雑になればなるほど、高い技術が必要とされました。

戦乱の世に花開き、天下統一がなされた頃、絶頂期を迎えます。
ところが、江戸時代の中期になると、忽然と姿を消してしまいました。
   
渡す相手や季節によって絵柄を変えたり、洒落を利かせたり。
中に入れる金額の多さより、袋の絵柄に工夫を凝らして楽しみました。
   
重ねた色が和紙に映える ぽち袋。
渡す相手を思う心遣いを、下町の摺り師が支えます。