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リフティング回数が5から19回へと
格段に増えたさとし |
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金華山登山の最中、
とかげに指をかまれるワッキー |
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限界ギリギリで登頂したかいせい |
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「やればできる」と子供を称えるヒデ |
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「天下を取る」と誓うペナキッズ |
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今回のトレーニングはまずリフティング。ボールを地面に落とさずに連続して蹴り上げる技で、ボールコントロールの基本中の基本だ。ペナルティがリフティングのコツを伝授する。「大切なのは足の甲の中心でボールの中心を捉えること。そして一気にたくさんの数を目指すのではなく、2回出来る人は3回。3回出来る人は4回と一つづつ数を増やすよう心がけること」。
さて、このアドバイスを受けて練習開始。ここで劇的に成長を遂げる子がいた。さとしだった。さとしは、当初せいぜい5回続けられるかどうかの状態だった。しかし、一回ずつ増やせば良いという、ヒデの指導を受けるうちにみるみる回数は増え、練習開始後数分で19回までできるようなったのだ。メンバー全員の前で上達したリフティングを披露するさとし。上気した顔に本物の汗が流れていた。
さて、この日の特別メニューは金華山登り。この山は元グランパスで日本代表でもあったフォワード、森山泰行選手(現FC岐阜)が現在もトレーニングに使っているのだ。森山選手が解説してくれた。「金華山登りは大変きついです。しかし、この山を登ることによって野性的な筋肉がつき、サッカー選手として良い体になります」。子供たちの下半身強化に最適なのだ。マネージャーのあんなちゃんが差し入れてくれたおにぎりを持って、いざ、織田信長ゆかりの岐阜城目指して登山が始まった。
メンバー全員元気に斜面を登ってゆく。この時点では、年齢の高い監督ヒデの方が登りきれるがどうか内心不安を抱えていた。順調に中腹まで辿り着いたペナキッズは、ここでおにぎりを食べることに。この時突然、キャプテンはやたが、豊山町に伝わる(?)食事時の儀式を始めた。手を合わせ呪文のような言葉を唱え始めたのだ。「鶴さんのようにツルツル飲み込まず、亀さんのようによくカメカメ」。全員でこの言葉を唱え食事開始。なんと洒落た言葉なのだと、ペナルティも感動。と、この時、ワッキーがとかげに指を噛まれるアクシデント。小指に牙が食い込んでいるのがわかる。よく噛まれたのはワッキーであった。
さて、食事を終えると再び登山開始。メンバー全員元気に歩み始めたと思ったその時、一人の子に異変が起こった。「かいせい」だった。彼の足はまだ細く、決して強靭とは言えない。ここまでの道のりでかなり疲労を蓄積していたのだろう。傘を杖がわりにして左右に揺れながらかろうじて前進を続ける。手すりに掴まりながら「歩くのつらい」とこぼしながらも、しかし監督ヒデの励ましで何とか自分を支えている。先を行くメンバーも時折、かいせいを待ちながら、全員での登頂達成を目指す。9歳のかいせいにとって今までで最も過酷な時間だったかもしれない。しかし、他人からの励ましを最も強く感じた時だったかもしれない。やがて、ヒデに手を握られたかいせいは、自身の限界を超え、メンバー全員と山頂に到達。試練を乗り越えたのだった。
天守閣に上がったメンバーは眼下の風景をすがすがしく眺めていた。ヒデが微笑んだ。「やればできるんだよ」と。そしてメンバーは信長のように「天下をとる!」と心に誓うのだった。 |
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限界には限界はありません |
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攻撃サッカーの名将
イビチャ・オシム
(ジェフユナイテッド千葉・監督) |
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