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教えてドクター

視聴者の皆様から健康天気予報の予報ジャンル*についての
疑問や質問をドクターにお答えいただきました。

熱中症

  • 80歳の母親の熱中症が心配です。脳梗塞後の左麻痺と認知症によるもの忘れがすすんでいますが、穏やかに自宅で過ごしていますが、食事の量が少なく、脱水にならないように水分をとるようにいって工夫もしているのですが、少ないです。
    高齢者と水分摂取量、熱中症の発症。予防について教えて下さい。

ドクターからの回答

桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部教授 星秋夫先生

ヒトは1日に約2.5の水分の出納があります。食事からの水分摂取もありますから,少なくとも飲み水として1日に1以上摂取する必要があります。
高齢者になると,体水分量が少なくなるとともに,口渇感や体温調節機能が低下してきますので,熱中症が発症しやすくなります。
したがって,高齢者では,安静状態でも発生する危険性が高くなるので,睡眠前後や入浴前後など,こまめな水分補給を心掛けること,日常生活では,炎天下での外出を避けるとともに,涼しい服装で暑さを避けることが大切です。また,室内では,直射日光を防ぎ,風通しを良くする工夫をし,室温の上昇に注意すること,暑くなった無理をせず涼しい室内へ移動することが大切です。

  • 熱中症で危険な温度・湿度等の条件を教えて下さい

ドクターからの回答

桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部教授 星秋夫先生

 暑さは気温だけでなく,湿度,気流,輻射熱が影響しますので,これらの要因を考慮したWBGT(湿球黒球温度)が暑さの指標として用いられています。
日本生気象学会では日常生活における熱中症の発生を予防するための予防指針で熱中症の発生する危険性を4つに区分しています。

1.WBGT25℃未満:注意 
強い運動強度で怒る危険性
2.WBGT25-28℃:警戒
中等度以上の生活活動でおこる危険性
3.WBGT28-31℃:厳重警戒
4.WBGT31℃以上:危険
すべての生活活動でおこる危険性

  • 熱中症は室内でもなると聞きましたが、どんな点に注意すればいいのでしょうか?

ドクターからの回答

桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部教授 星秋夫先生

熱中症を発症させる要因としては、高温環境と断水状態が大きな要因としてあげられます。
したがって、室内を風通しよくする。直射日光を遮るなどの工夫をする。
気温が高いときには無理をせず、エアコン等を用い、室温を低下させる必要があります。
また、日常生活の場においても、常に脱水状態にならないよう、こまめに水分補給を心掛ける必要があります(のどが渇く前、1時間にコップ一杯程度水分を補給する)。

  • 数年前に熱中症にかかってから、以降毎年夏になると悩まされています。
    通勤の2、30分の歩行やバス停での数分間の待ち時間でも具合が悪くなってしまします。病院は何科を受診すべきなのか?予防はできますか?

ドクターからの回答

桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部教授 星秋夫先生

熱中症の症状は“めまい”や“立ちくらみ”などの軽度なものから、“体温が下がらない”、“意識がない”、あるいは“呼びかけても返事がおかしい”などの重症例まで様々な症状があります。軽度な症状でしたら、内科に通院して診療を受けることでよいのですが、重症例になりますと、生命の危険がありますので、速やかに救急車で搬送してもらう、あるいは救急外来に行くなどが大切です。
夏季の暑い環境でも熱中症になりにくい身体をつくること、つまり暑熱順化(身体が暑さに慣れている状態)することが大切です。
暑熱順化には長期暑熱順化(熱帯地方で居住することによって数年から数世代で形成されるもの)と、短期暑熱順化(数日から数週間で形成されるもの)があります。
短期暑熱順化するには、暑熱環境下に数日間暴露されることや、本格的な夏季になる前からジョギングやウオーキングなどの有酸素性運動を行うことにより獲得することができます。運動による暑熱順化には1~2週間程度必要だといわれています。

  • 私が子供の頃、夏になれば良く耳にした「熱射病」。
    恥ずかしながら、「熱中症」と「熱射病」の違いがわかりません。
    今は「熱射病」という病名は無いのでしょうか?

ドクターからの回答

桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部教授 星秋夫先生

暑さによってもたらされる暑熱障害による症状の総称のことを“熱中症”といいます。
熱中症の病態は大きく4つに分類されています。
(1)熱失神:皮膚血管の拡張により血圧が低下し、脳血流が減少して起こる一過性の意識消失で症状として、めまい、失神などを生じます。
(2)熱けいれん:低Na血症による筋肉の痙攣が起こった状態で、筋肉痛・筋肉の硬直などを生じます。
(3)熱疲労:大量の汗により脱水状態となり、全身倦怠感、頭痛・気分の不快、吐き気、嘔吐、下痢などの症状が出現する状態をいいます。
(4)熱射病:体温上昇のため中枢神経機能が異常を来たした状態で意識障害や痙攣、手足の運動障害、高体温などが現れた状態です。最も重症な病態です。
また、太陽光が原因で起こるものを日射病とも呼んでいます。

  • 屋外で2時間・週4回ほどテニスしてますが熱中症が心配です。
    スポーツドリンクは半分程度に薄めた方がいいのでしょうか?
    梅干しが効果があると聞きますが、本当ですか?
    効果的な水分補給方法や食品を具体的に(何を いつ どう 摂ればいいかなどを)教えて下さい。

ドクターからの回答

桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部教授 星秋夫先生

 長時間運動をすると多くの発汗をすることになります。汗は水分だけでなく塩分も含まれます。
したがって、水分と同時に塩分の補給も必要になります。0.1~0.2%程度の食塩水(1リットルの水に1~2gの食塩)が適当ですが、スポーツドリンクを2倍程度に薄めたものが飲みやすいといわれています。梅干しにも塩分が含まれているので効果はあります。ただし、摂取した塩分量が不明ですので、適切な水分の補給量が難しくなります。
運動時や作業時の水分の補給は体重減少量の7~8割程度が目安となります。一般的には、作業前にはコップ1~2 杯程度の水分・塩分を補給する。作業中には20~30分ごとに休憩し、コップ半分~1杯程度の水分・塩分を補給する。作業後には30分以内に水分・塩分を補給すると良いといわれています。

  • 熱中症予防に水を飲めと言われます。それも「のどが渇いてからでは遅い」と言われます。のどが渇いてもいないのに、水を飲むのは結構辛いのですが、飲み過ぎても問題はないのでしょうか?
    また適量というのは、どのように判断すると良いのでしょうか?

ドクターからの回答

桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部教授 星秋夫先生

飲みたいだけ飲んでも飲み過ぎになることはありません。
反対に水分を補給しようとしても発汗量と同じ量を取ることが難しいので、発汗量の70~80%を目安に補給するようにすすめています。
さらにヒトの体は水分を補給してから、吸収するまでに60~90分程必要ですので、のどが渇いたと思ってから水分補給しても遅いというのはこのためです。つまり一度に大量の水分を摂取しても直ぐに吸収されるわけではないので、100~200ml程度の水分をこまめに摂るように心掛けることが大切です。

  • これからの季節、一番楽しみは風呂上がりの冷えたビールなのですが、
    その一杯のために午後は極力水分をとらないようにしています。
    仕事はデスクワークなのですが、熱中症の危険は高まりますか?

ドクターからの回答

桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部教授 星秋夫先生

例え、室内の作業でも熱中症になる危険はあります。
水分を摂らないようにしていることで身体が脱水状態にある上、ビールなどアルコールには利尿作用がありますので、さらに脱水状態をすすめてしまい、熱中症を発症しやすくなってしまいます。
理想の水分補給は、アルコール類、コーヒーなどカフェインが入ったもの以外を1時間にコップ1杯程度とるように心がけてください。

  • 子供をベビーカーに乗せて出かける時、熱中症にならない方法を教えてください

ドクターからの回答

桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部教授 星秋夫先生

熱中症発症の原因は直射日光だけでなく、路面等からの照り返し(輻射熱)の影響もあります。
ベビーカーに乗った子供の顔の高さは70~80cm位になり、大人が立っているときの顔の高さよりも低いため、道路などを歩くときは路面からうける輻射熱の影響が大人よりも大きくなります。
したがって、大人が暑く感じなくても、ベビーカーに乗った子供は暑くて我慢ができない状態になることもあります。
ベビーカーを利用する時は麦わら帽子や傘など、直射日光を遮り、風通しのよい服装をさせること。なるべく日陰を選んで歩くようにすることが大切です。そして、こまめに子供の体調の変化に十分注意する必要があります。

  • 同じ場所で熱中症になる人 ならない人の理由は?

ドクターからの回答

桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部教授 星秋夫先生

熱中症の発生には、まずその人の年齢が関係し、体温調節機能がうまく働きにくい高齢者や乳幼児は熱中症になりやすいといわれています。
そして体調不良や心臓病、腎臓病、糖尿病などの病気がある人、肥満傾向の人も注意が必要です。
また水分の取り方によっても変化しますので、のどが渇く前に、こまめな水分摂取を心がけましょう。

  • 熱中症の予兆とはどんなものですか?
    また、曇っていてもなるのでしょうか?

ドクターからの回答

桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部教授 星秋夫先生

熱中症は高温環境になればなるほど発生の危険度が高くなりますが、そのほかの条件、たとえば湿度や気流などの環境要因だけではなくその日の体調や体力などの健康状態、行動にも影響されるので、曇りや雨でも熱中症になる可能性はあるので注意が必要です。
予兆としては体がだるくなる、頭痛、めまい、動悸がするなど、自分にとって普通でない症状が出てきたら、危険な状態といえます。
またお年寄りや子どもの場合は、周りの人が注意して見てあげることも重要です。

  • 熱中症を防ぐには、どんな服装が良いですか?
    服の素材によって違いはありますか?

ドクターからの回答

桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部教授 星秋夫先生

たくさん汗をかこうと、着込んで運動する方を見かけますが、とても危険です。
服装は軽装にし、衣服の素材も通気性や吸湿性の良い、綿が良いとされています。
ポリエステルやアクリルなどの合成繊維は吸湿性が低いので、夏の衣服としては不向きになります。
また色合いも熱を吸収しない白系統の淡い色にするといいでしょう。
直射日光を防ぐためにも帽子の着用を心がけましょう。

  • 涼しい場所にいても、熱中症になることがあるようですが、それはなぜ?

ドクターからの回答

熱中症とは、体の中と外の"あつさ"によって引き起こされる、様々な体の不調です。
涼しい場所にいても激しい運動や労働をすれば、体温が高くなりますので、体温調節がうまくいかないと真冬でも熱中症になります。
実際、11月などの冬季でも死亡事故が起きています。
また、運動開始から比較的短時間(30分程度から)でも発症する例もみられます。
気温が低くても安心せず、こまめな休息を心がけましょう。