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スペシャルドラマ「ガラスの牙」



あらすじ

権藤明子(高畑淳子)は、二人の子を持つ48才の主婦。明るく前向き、エネルギッシュな性格の彼女は、5年前から地元のFM局で月一回「ウォーター・オブ・ライフ」という番組のDJをつとめている。明子には大学生の頃からDJの経験があった。
 そんな明子のもう一つの仕事は、2年前に引き受けた「保護司」の仕事である。刑期を終えて出所した大人、少年院を出たり保護観察処分を受けた少年たちの更生を手助けする仕事だ。
 明子がDJをつとめる番組は、地元の普通の人たちを巻き込んで進められるもので人気を集め、それがきっかけで明子は保護司に推挙されることになった。保護司の全国平均年齢は63歳というのに、46歳の明子が保護司になるのは異例のこと。建設会社を経営する夫の健郎(平泉成)や子供たちをはじめ明子の友人たちは、彼女が時には危険な目にあうのもかえりみず保護司の仕事をするのを、心配しながらも温かく応援していた。
 明子の日常はあわただしい。日々、彼女は保護観察処分の様々な境遇の少年少女たちと向き合う。幼い頃から両親に育児放棄をされ、愛されることを求めて援助交際をする15歳の梨枝子(蓮佛美沙子)。複雑な家庭環境で育ったため人とのつきあい方がわからず、何度も仕事を辞め、生きる意欲を失いかけている17歳の久志(栩原楽人)。義母や家族との関係がうまくいかず、出所後も家庭内暴力を繰り返す18歳の満(原田琢磨)。明子は、彼らの抱える心の闇を見るたびに心を痛めた。社会や家庭にはじかれて、子供たちはさまよっている。
 明子は彼らを何とか社会復帰させようと奮闘していたが、社会に戻ってもなかなか周りとなじめず再び傷ついて罪を重ねそうな子供たちを見て、このままでいいのかと悩んでいた。そんなある日、明子は少年院を訪れ、そこで花に水をやっている少年を見かける。その花は彼の母親が好きな花だという。彼は母親の好きな花に水をやることで詫びており、心を癒している。明子はそう感じた。 その光景は明子の心に残り、こう思うのだった。「私の手はとても小さくて、掬い取れる水の量はとても少ないけれど、心一杯の思いやりと優しさと愛を込めて、乾いた子供たちの心に水を注いでやりたい」。
 そして明子は、彼らのためのDJ番組を少年院の中で流すことを思いつく…。