この年のマスターズで痛めた右肘治療のために青木功が欠場したが、海外からは81年、82年と米ツアーの平均ストローク1位に輝いたT･カイトや86年のロサンゼルスオープンに優勝して波に乗るD･ツールらが出場した。初日、午後から吹き始めた風のため、各選手とも思うようにスコアが伸びず、結局インで32をマークしたD･イシイと鷹巣南雄、さらにシーズン当初から好調な米ツアープロ、C･ローズ、そしてアマチュアの伊東章の4人が2アンダー68でトップを並走。1打差に尾崎将司ら6人が並び、混戦模様を呈した。

2日目、終日雨が降り続く悪コンディション。この数日前、ソ連の原発事故があったため、各選手とも帽子にレインウェア、さらにカサと完全装備のラウンドとなった。そんな中で単独首位に立ったのは、ステディなゴルフで67をマークしたD･イシイ。やはりこの日67をマークした吉川一雄に1打差をつけた。

前日と同じ雨の3日目。イシイ、吉川ともに出入りの激しいゴルフでスコアを伸ばせず、終わってみれば二人とも1打ずつスコアを崩して、イシイの首位は変わらず。しかし、3位以下の選手が差をつめ、中でもD･A･ワイブリングが5バーディ、4ボギーの69をマークして首位に2打差まで追い上げた。

米ツアー1位の実力を披露したのがカイト。アウトは6バーディ、ノーボギーの29。インも2バーディ、1ボギーの34にまとめ、63の大爆発で、56位から一気に16位に進出。米ツアー平均ストローク1位の意地を見せつけた。一方、優勝戦線は1打差の2位でスタートした吉川がスコアを崩して脱落。ワイブリングもインに入って攻め切れずに停滞。首位と3打差でスタートした中嶋も、67と追撃したものの2年連続2位に進出するのが精一杯。この日も68とほぼ完璧なゴルフを展開するイシイは通算6アンダー、中嶋に4打差をつける完全優勝を果たした。