中日クラウンズの歴史

ムーディーを退けた
理倫家石井朝夫の執念

1961
第2回大会
石井朝夫
石井朝夫
Tomoo Ishii

大会概要

会場 名古屋ゴルフ倶楽部和合コース
6,535Yards Par70(35 - 35)
賞金総額 ¥1,700,000
期日 5月8日、9日
カット なし
出場者数 53名(アマ10名)

大会スコア

1位 石井 朝夫 71-71-68-70=280 ¥500,000-
プレーオフ
2位 Orville Moody 72-69-70-69=280 ¥300,000-
3位 勝俣 功 69-68-71-74=282 ¥200,000-
4位 林 由郎 68-70-73-72=283 ¥80,000-
5位 藤井 義将 67-73-69-76=285 ¥70,000-
6位 小針 春芳 71-69-70-76=286 ¥50,000-
6位 中村 寅吉 73-68-72-73=286 ¥50,000-
6位 橘田 規 74-68-73-71=286 ¥50,000-
9位 森岡比佐志 72-69-71-75=287 ¥30,000-
10位 加藤 辰芳 69-74-74-71=288 ¥15,000-
10位 勝俣 敏男 73-72-71-72=288 ¥15,000-
12位 戸田藤一郎 74-70-74-71=289  
12位 小野 光一 68-70-73-78=289  
12位 陳 清波 70-75-71-73=289  
15位 松田 司郎 72-72-72-74=290  
15位 今田慶之助 75-66-75-74=290  
17位 石井 廸夫 74-68-73-76=291  
18位 内田 一ニ 72-73-69-79=293  
18位 井上 清次 73-72-75-73=293  
18位 石川 一夫 73-72-73-75=293  
18位 細石 憲二 71-75-74-73=293  
  • ベストアマ 岡藤武夫 309 40位

1R

日本のゴルフ史上初めて、優勝副賞に自動車(トヨ タ・パブリカ)が提供された第2回大会。米軍座間 キャンプから後年全米オープンを制覇するオービル・ ムーディーが、前年関東オープン5位の成績で出場 をしてきた。また、アマチュアでは天才ゴルファーと して脚光を浴びていた19歳の中部銀次郎も初出場し た。天候は雨上がりのうす曇り。風はなくスコアメー クには絶好のコンディション。第1ラウンドは、ダー クホースの藤井義将がノーボギー、3アンダーの67 と好スコアをマークし、単独トップ。1打差で第1回 大会の雪辱に燃える小野光一とベテランの林由郎、新 鋭の杉原輝雄が68で続いた。また、スタート第1組 の山本嘉夫は第1打をいきなり右へOB。結局その後 まとめてボギーで上がったが、初日第1組、初球OB はひとつの話題となった。

2R

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ショット好調で第3ラウンドに急上昇してきた石井朝夫。

午後の第2ラウンドに入ると、順位は目まぐるし く動いた。第1ラウンド69と好位置につけた勝俣功 が6番でチップインバーディを奪うなどアウトだけ で4バーディ、通算5アンダーの快進撃だ。18番では、 左ラフからの第2打をOBとしたが、それでも通算 3アンダーで単独トップに立った。小野はアウトで4 アンダーまで伸ばしたが、12番で50センチのパッ トを外し、14番でもティショットを左のOBライン ぎりぎりに打ち込んでしまい、思うようにスコアを伸 ばせず、勝俣とともに1打差の2位タイにつけた。2 位タイスタートの林は、18番の第2打でギャラリー の動きにプレーを妨げられ、ミスショットしてボギー、 小野と並びそのまま2位タイに。単独トップからス タートした藤井は、14番まではステディなゴルフを続けたが、15番で突然リズムを乱してダブルボギー、 17番もボギーとして、結局通算イーブンパーまで落 とし4位タイに後退した。注目されたムーディーは1 番でサブグリーンのバンカー横まで飛ばすなど300 ヤード級の豪打を随所に見せたが、パットが決まらず、 通算1オーバー6位タイ。また、今田慶之助がコー スレコードタイとなる66をマークし、ムーディーと並んで6位タイに急浮上した。

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最終日も好天、微風の好コンディションで行われた が、固いグリーンにスコアを崩す選手が続出した。第 2ラウンド終了時、単独トップに立っていた勝俣が1 つスコアを落とし通算2アンダーとしたものの首位 をキープ。続いて通算1アンダーにこのラウンド69 をマークした藤井、イーブンパーに小針春芳、石井朝 夫、1オーバーに小野、林、ムーディーと、上位は実 力者が僅差で競り合う大混戦になった。この中でも、 前日まで2オーバーだった石井は、第3ラウンドの ベストスコアとなる68をマーク。ファイナルラウン ドに向けて絶好の上昇気流に乗っていた。

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プレーオフでムーディーがギブアップし、石井に凱歌が挙がった。

午後になると、藤井が3番でダブルボギー、4、6、 7番もボギーと乱れ後退。小針は3、4、5番といずれ もショートパットを外し、小野もまた12番でダブル ボギーを叩いて優勝争いから取り残された。その中、 ムーディーが16番(370ヤード)で、ティショット をサブグリーンに1オンさせバーディを奪い、首位を うかがう。結局通算イーブンパーでホールアウトした。 その後を回る石井は、14番のボギーで貯金をなくし、 イーブンパーに落としムーディーと並んだ。最終18 番の第2打はバンカーに入れ、ピン手前約2メートル に寄せた。このパットにすべてをかける石井は、息詰 まる空気の中で見事に沈めてパーをセーブ。大会初の プレーオフとなった。10番から3ホールで行われた プレーオフは、10番でムーディーが10メートルから 3パットのボギーにして一歩後退。11番ともにボギー の後の12番。石井は2メートルに2オンしたのに対 しムーディーは左ラフからの第2打がグリーンオー バー。直接カップインを狙った返しもピンをオーバー し、石井のパットがカップのフチに止まるとムーディー がギブアップ。石井の初優勝が決まった。理論家とし て定評があった石井の優勝は1954年の読売プロ以来 7年振りとなった。また、アマチュアは岡藤武夫が優 勝を飾った。

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