中日クラウンズの歴史

王者が刻んだ
栄光の第一歩

1960
第1回大会
中村寅吉
中村寅吉
Torakichi Nakamura

大会概要

会場 名古屋ゴルフ倶楽部和合コース
6,535Yards Par70(35 - 35)
賞金総額 ¥1,700,000
期日 6月1日、2日
カット なし
出場者数 54名(アマ12名)

大会スコア

1位 中村 寅吉 70-69-68-70=277 ¥500,000-
2位 小野 光一 68-73-66-71=278 ¥300,000-
3位 橘田 規 66-73-69-72=280 ¥140,000-
3位 小針 春芳 69-70-71-70=280 ¥140,000-
5位 林 由郎 75-67-70-71=283 ¥70,000-
6位 栗原甲子男 71-73-71-69=284 ¥60,000-
7位 勝俣 敏男 70-69-73-73=285 ¥50,000-
8位 石井 哲雄 71-72-74-69=286 ¥35,000-
8位 木本 三次 70-71-73-72=286 ¥35,000-
10位 松田 司郎 70-78-69-70=287 ¥20,000-
11位 原 政雄 70-70-75-73=288  
11位 陳 清波 73-71-75-69=288  
13位 石井 茂 70-72-71-76=289  
13位 杉原 輝雄 71-70-73-75=289  
15位 内田 繁 71-76-73-72=292  
15位 勝俣 功 68-72-73-79=292  
15位 新井 進 70-75-74-73=292  
15位 鈴木源次郎 74-74-71-73=292  
19位 石井 廸夫 71-75-73-74=293  
19位 石井 朝夫 70-75-74-74=293  
19位 森岡比佐志 72-72-75-74=293  
  • ベストアマ 大橋貞吉 303 34位タイ

1R

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記念すべき第1回大会。当時は1日2ラウンドで2日間4ラウンドの競技として行われた。初日の午前中に行われた第1ラウンドは、うす曇り、微風と絶好のコンディション。難コース和合に手を焼く選手が多い中、アンダーをマークしたのは、ベテランの小針春芳と小野光一、勝俣功、橘田規の4人。中でも米国留学から帰ってきた橘田は、的確なショットでグリーンをことごとく捕らえ、5バーディ、1ボギーの4アンダー、66(34・32)のコースレコードを達成した。これに対し、前年の日本オープンを制し、華麗なスイングで注目された優勝候補の陳清波は、3番の3パットからパットが乱調、結局3オーバーの73という苦しいスタートになった。一方、王者中村寅吉は、パープレーの70。この大会のために、かなりの練習を積んできたという中村は、虎視眈々上位進出をうかがっていた。

2R

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随所で妙技を見せた中村寅吉が接戦を制した。

午後の第2ラウンドに入ると、橘田はショットが乱れ、アウトは3ボギーの38。インに入っても13番のショートホールで、グリーン横のバンカーにつかまり、リカバリーショットもトップしダブルボギー。16番ではバーディを奪い、辛くも73でまとめたが、通算1アンダーに落す。それでも首位をキープしたが、地力のある実力者たちが並びかけた。小針、中村のベテラン勢と勝俣敏男の3人が共に通算1アンダーに浮上しトップタイという混戦となった。その中村は3番でバーディを奪うなど、尻上りに調子を上げての69。また、この年の日本プロ優勝者である棚網は、その疲れからか、通算4オーバーの144でトップと5打差の13位タイと振るわない。なお、優勝候補だった戸田藤一郎が自己確認のサインを忘れ失格になった。

3R

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7台のカメラで、ゴルフの大会としては初めて全国中継された。

最終日は、時折小雨に見舞われたが、グリーン上は白熱した。午前の第3ラウンド、7位タイから一気に追い上げたのが、1957年のカナダカップで日本が団体優勝したときの中村のパートナーである小野光一だった。小野はアウトを35で回った後、11番、15番、16番、17番とバーディを奪い、前日の第1ラウンドで橘田が記録したコースレコードタイとなる66(35・31)をマークして、このラウンドを手堅いゴルフで68にまとめた中村とともに通算3アンダーとした。一方、初日の第2ラウンドまで首位を守っていた橘田も、チャンスを作りながらも肝心のパットが思うようには決まらない。第3ラウンドは1アンダー69をマークするものの1打差の3位に後退、両ベテランに首位の座を奪われた。また小技に定評のある小針も、グリーンに苦しみ首位から3打差の4位タイに順位を下げた。

4R

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優勝の盾を授与される中村寅吉。

午後の最終ラウンド。優勝に逆転をかける橘田は9番の3パットから迷いが出た。一方、小針はアウトで3バーディを奪い、一時は中村に並んだが、15番で1メートルのパーパットを外し、17番でも左の深いバンカーに入れてボギーを叩き、圏外に去った。中村は1番、2番で連続バーディを奪い、勢いに乗るかと思われたが、3番、5番、6番でミスパットを重ね、なかなか波に乗れない。一方首位タイのスタートで、打倒中村に燃える小野も苦戦。前半に差をつけられたが12番のバーディで1打差に詰め寄る。魔の17番では、左バンカーからあわやチップインというスーパーショットを披露したが、惜しくもパー。ラストチャンスとなった18番で10メートルのロングパットに望みを託したが、これもカップに嫌われ、1打差の2位に泣いた。結局、最終ラウンドをイーブンにまとめた中村が通算3アンダーで貫禄の初優勝。初代チャンピオンの栄冠を勝ち取った。なお、アマチュアは大橋貞吉と石本喜義の宝塚勢同士の競り合いとなったが、ベテランの大橋が若手の石本を退け栄冠に輝いた。この大会は7台のカメラで初めて全国中継され、ゴルフ中継番組の草分けとなった。

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