新年はニュース続々!でも越年課題も山積

北辻利寿

2018年1月12日

画像:足成

新しい年になって2週間、いつもの年に比べてかなり多くの出来事が起きている。

韓国と北朝鮮の2年ぶりの対話、沖縄での相次ぐ米軍ヘリ不時着、元横綱・日馬富士問題での貴乃花親方の理事解任、カヌー選手による禁止薬物混入、「成人の日」晴れ着業者トラブル、そしてプロ野球で活躍した星野仙一氏の死去・・・。

ニュースは連日にぎわっているのだが、実はこのお正月は越年した課題も沢山ある。

 

海外で気になるは、暮れの12月になって世界を驚かせたアメリカのトランプ政権によるエルサレム首都認定。

国連の場における「首都認定」撤回決議までが年内にあった国際的な大きな動きであったが、今後このトランプ大統領の決断をめぐって、世界に何が起きるのかは想像もつかない。テロの懸念もある。

今から25年前、クリントン米大統領の仲介により、イスラエルのラビン首相とPLO(パレスチナ解放機構)のアラファト議長による歴史的な握手、それをイスラエルやパレスチナ自治区の現場で取材した思い出があるが、あの高揚感は何処へ・・・。

中東和平の歩みは決して容易でないことは歴史が語っているが、これまでずっと中東和平の仲介役をしてきたアメリカの方針転換は、ヨーロッパ各国の強い反発の中、世界に亀裂を入れたまま年を越した。

 

北朝鮮をめぐる情勢も、年が明けて南北会談が行なわれたからと言って、核ミサイル開発問題に出口が見えたわけではない。

まもなくお隣の韓国では平昌オリンピック・パラリンピックが開幕、北朝鮮も参加を表明したものの、競技と同様に朝鮮半島には世界中の注目が集まっている。

 

国内では、6年目を迎えた安倍政権の課題。安倍総理は年頭会見で、1月22日に召集される通常国会を「働き方改革国会」と位置づけ関連法案に取り組むことを明らかにした。受動喫煙をめぐる健康増進法改正法案や成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正法案など、去年秋の衆議院解散によって先送りされたテーマが目白押しである。

また継続されている憲法改正論議についても「あるべき姿を年内に提示」と意欲を示した。しかし、去年の流行語に「忖度」という言葉まで送り込んだ、いわゆる「森友・加計問題」は本当にこのままで済んでいくのだろうか。これも越年の課題と言えよう。

対する野党も課題が続く。秋の解散総選挙をきっかけに民進党が分裂したが、立憲民主党、希望の党、そして民進党、この3党の今後の協力態勢もどうなるのか?

これまで「同床異夢」とも見られていたが、今や「異床異夢」の状態である。国会審議が進む中でどう動くのだろうか。

 

去年後半になって続々を発覚したメーカーを中心にした不祥事。日本を代表する大企業で次々に見つかった不正や検査データの改ざんに、日本製ブランドの信頼は大きく揺らいだ。本当にこれで打ち止めなのか。そして新幹線のぞみの台車亀裂とそれを見逃してしまった管理体制のすき間。新幹線の安全神話が揺らいだショックも癒えていない。

 

そして沖縄の基地問題も出口が見えてこない。

12月に入っての米軍ヘリからの窓枠落下事故など火に油をそそぐ事態が次々と起きた上、年が明けてもヘリ不時着などが続いている。そんな中、2月には普天間基地の移転先とされる辺野古、それを抱える名護市の市長選が投票を迎える。

秋にはいよいよ沖縄県知事選も・・・。年を越しても沖縄から目が離せない。

 

スポーツ界では、元横綱・日馬冨士の暴力問題から端を発した相撲協会の内部亀裂。

1月場所は待ったなしでやってくるが、立行司のスキャンダルも発覚。春に向けて理事選もあり貴乃花親方の動向などが引き続き注目されるなど、春に向けて各界の動揺は収まりそうもない。

平昌オリンピック男子フィギュアの羽仁結弦選手の怪我の状態も年越しの心配事である。そして海の向こうのスポーツでは、イチロー選手が今シーズンにプレイするチームが未だに決まっていない。年越しである。

 

除夜の鐘は、古い年を除き去り新年を迎えるものと言う。除夜の鐘の数は108。

107は年内に打ち、残り1つを新年に打つという寺もある。

その数は煩悩の数だと言われるが、実は野球の硬式ボールの縫い目の数も同じ108である。人気漫画『巨人の星』で主人公・星飛雄馬の父・一徹が、除夜の鐘とボールの縫い目の数が一緒だと語る場面がある。この数の一致は偶然だというのが定説であるが、とはいえ数は同じ。

『巨人の星』と同じ、野球を生業(なりわい)とするイチロー選手にも、そして多くの越年の課題にも、早く108個目の鐘が鳴って何かが動くことを願っている。

 

東西南論説風(25)  by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】