3月8日に東京都内で開かれた自民党大会を取材してきました。
今回の大会の標語は「立党60年 新たな扉を開こう」というものでした。自由民主党は、保守合同といって、日本民主党と自由党という二つの保守政党が一つになって生まれました。今年はそれから60年の節目にあたるのです。
自民党の生まれた1955年は、当時右派と左派にわかれていた日本社会党が統一され、それがきっかけとなり保守合同も実現したと言われています。今、その社会党はなく、自民党と社会党という二大政党が政治の大きな流れをつくってきた55年体制という言葉も、永田町でほとんど聞かれることはなくなりました。
変わって最近よく聞かれるようになったのは、一強多弱という、自民党が圧倒的に強いとされる、いまの国政の状況を指す言葉です。
党大会での谷垣幹事長の報告でも、先の総選挙で一年生議員が多数再選され、総選挙ごとに前の政権党に所属する新人議員が大量落選、野党の新人議員が大量当選して政権交代になるという、2009年と2012年の2回の総選挙で繰り返されたことにも象徴される、いわゆる振り子現象に終止符をうつことができたと胸を張り、これまで自民党が2回下野しながらも政権復帰できたのは、強固な地方組織のおかげ、地方創生を日本創生にしようと、目前にせまった統一地方選への取り組みを訴えていました。
ここで印象に残ったのは、党大会に参加していた、引退を決めたあるベテラン県議の言葉です。次の地方選挙を目指す若い人たちにぜひ言いたいことはなんでしょうと尋ねたところ、毎日の積み重ねを大事にしてほしい、地域の有権者との対話の積み重ねから政治は生まれる、あたりまえのようなことだが、それを強く噛み締めてほしいと話していました。
安倍総裁は、この党大会で戦後以来の大改革に邁進していく決意を表明していましたが、その一つである農業改革は、まさにそれぞれの地域のありかたに密接にからんでいる問題です。経済の再生も地域経済抜きに語ることはできません。さらに、安全保障についても有権者に一番近い地方議員が接する様々な声も、実は大事なのかもしれません。
自民党だけでなく、広く地方政治を目指す人達が、地元の問題について、今の国政の課題の視点も踏まえた上でどんな主張をしていくのか、そして、それぞれの訴えの中で、どれだけ地域の声に接することができるのか、こうした点をしっかり見守っていきたいと思いました。