川崎市の中学一年の男子生徒が殺害された事件は、17歳から18歳の少年3人が逮捕され、社会に大きな衝撃を与えています。
この事態を受けて文部科学省は、先月27日、この事件についての教育現場の対応の検証や再発防止を検討するタスクフォースを設けました。タスクフォースという言葉は、日本語にすると、この場合、特別検証委員会という意味合いになるのでしょうが、いたずらに時間をかけず、機動的に検証するという姿勢も、この言葉に込められていると感じます。タスクフォースのトップ、地元愛知6区選出の代議士である丹羽秀樹文部科学副大臣に先日話を聞いてきました。
丹羽副大臣によりますと、タスクフォースの設置には、この事件に対する安倍総理の強い思いがあったそうです。タスクフォースでは、まずは、登校せず連絡のとれない児童・生徒の緊急調査をはじめていますが、事件自体については、どうして大切な命を救うことができなかったのか、学校現場だけでなく、警察との連携など、広い視野から、早急に、しっかり検証していきたいということでした。
もちろん、徹底した検証をお願いしたいのですが、お話をうかがっていて、もう一つ感じたのは、教育現場の現状についてです。事件の直接的な検証とはすこし離れてしまうかも知れませんが、少子高齢化という人口構造の変化は教育現場にもおよび、今、いわゆる団塊の世代のベテランの先生が大量に退職していく中で、中堅層のベテランの先生の割合が相対的に減ってきている現状があります。その中で、学校現場では、教室での授業以外に様々な業務が発生し、特に経験の少ない先生に負担がかかるという構造的な問題があるのではないかという点です。
文部科学省でもチーム学校というとりくみを進めることにしていて、ソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなど、教師以外の人材を積極的に学校現場で活用することが具体的に検討されています。また、学警連携といって、地域の教育委員会と警察が協定を結んだりして、非行の問題などに、地域も含めて機動的に対処しようというとりくみも始まっていますが、全国的には、まだ道半ばという面があるようです。
子どもをまもり育てていくのは、教育現場や家庭だけの問題ではありません。次代を担う大切な命がなぜ奪われてしまったのか、タスクフォースには、幅広い検証をお願いするとともに、教育現場がおかれている現状や、それに対して地域がどうかかわっていくべきかといった点にもしっかりと目を向けていきたいと感じています。