9月の終わり、ネパールの首都カトマンズに降り立った撮影隊。
折しもネパール最大の祭りインドラジャトラは最高潮を迎え、生き神である「クマリ」が御輿に乗って町を巡り、邪気を払って人々に繁栄と成功を与えている。
クマリは国内から選ばれた少女の「生き神」で、いわば神話に登場する女神たちの生まれ変わり。
祭りでは人々の中に生きる「神々」を目の当たりにする。
さらに街の建築物や人々の暮らしの中にも神様が数多く宿っていることに気付く。カトマンズ近郊の町々で仏教画や彫刻を作る職人たちとふれ合い、彼らが作り出す創作物の奥深さを知る。
ネパールでヒンズー教と「共存」しているのが仏教。カトマンズの南西に位置するルンビニは、ブッダ生誕の地と言われ、ブッダの生涯に関する4大聖地のひとつである。菩提樹の下で休む人々の姿は懐かしささえ感じられる。
今から100年以上前、チベットへ行くため、ネパールに入国した河口慧海。標高2700mに位置するチベットへの入口、ジョムソンのエコミュージアムで見つけた河口の足跡に「信じるチカラ」を感じる。
1953年、今から60年前にイギリス隊のエドモンド・ヒラリーによって初登頂された世界最高峰「エベレスト」。今なお多くの登山者ハイカーたちが、この世界の屋根を目指しエベレスト街道を歩いていく。撮影隊は山の神と共に暮らしてきたシェルパ族の助けを借りて街道内の標高3800mにある仏教僧院タンボチェ・ゴンパを目指す。道々、シェルパたちが信じる物語(神話)や習慣に触れながら、一歩一歩エベレストに近づいていく。そしてたどり着いたタンボチェの夜、姿を現した満天の星と世界の屋根は何を語るのか?