株式会社CBCテレビ
番組審議会
第703回CBCテレビ番組審議会
開催日 | 2024年11月8日(金) |
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開催場所 | CBCテレビ役員会議室 |
出席委員 (敬称略) |
池田直樹、いとう菜のは、小倉敏秀、 久保南海子、柴野理奈子、戸苅創、中北馨介、 森朝奈 |
書面参加 (敬称略) |
島田佳幸、盛田淳夫 |
放送事業者側出席 | 松波社長、水谷取締役、 今泉IPプロデュース部長、下野プロデューサー、 小森編成部長 |
議題 | 1. 番組審議 『ハートフルワールド』第9話 三重・渡鹿野島編 |
1. 番組審議 『ハートフルワールド』第9話 三重・渡鹿野島編
放送日時 | 2024年9月11日(水)23時59分~24時29分 |
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スタッフ | プロデューサー・ディレクター 下野賢志 (IPプロデュース部) |
出演 | ヒコロヒー 鈴木省吾 (ナレーション) |
《編成意図》
ディープな街へ、ディレクターが1人で デジカメを携えてハートフルを探しに行く異色のドキュメンタリーバラエティー。作り手の熱量を全て詰め込んだ、既視感のない世界観の番組に仕上げた一方で、ドキュメンタリーを愛する芸人 ヒコロヒーの目線をつけることで、視聴者にとっての見やすさも意識しました。2023年3月から半期に数本のペースで編成しています。
《番組内容》
今回の舞台は、三重県志摩市の渡鹿野島。江戸時代から船乗りを相手にした遊郭が栄えた島で、遊女たちを管理する置屋が軒を連ねていました。昭和から平成にかけては四国や九州などから多くの女性が島にやってきて、いつしか「売春島」として知られるように。2000年頃から島民は“浄化”に舵を切り、伊勢志摩サミットや新型コロナを経て、売春は消滅しましたが、島には今も全盛期を生きてきた人たちが暮らしています。
そんな渡鹿野島で出会ったのは、かつてホステスとして働いていた女性や、“置屋の子”として生まれ今は旅館を経営する男性。そして1か月間通い詰めた末に、重たい口を開いてくれたのが、島のヌード劇場で働いていたという、とある女性。
「親に売られたの。死んでも親だと思ってない。」
壮絶な人生を歩んできた女性には今、毎週のように通っている場所が…そこには想像を超える“ハートフル”がありました。
《審議委員の主なご意見》
- 視聴者の気持ちをどこに着地させようとしているのか掴みきれないところがあったが、他にはない番組だと思った
- 30分という短い時間で手軽に見られ、それでいて内容はディープという“短く深い”見せ方が、今の時代に合っている
- ワイプ画面に映るヒコロヒーさんが、VTRにツッこむタイミングやコメントが良く、共感できた
- 過去作品も含め、どのエリアにもディレクターが足繫く通い、いろんな人の気持ちをほどいていく技は、なかなかだと感心した
- 取材対象者とディレクターが、心を通わすことによって生まれる相互信頼に、“ハートフル”を感じた
- やはり人間というのは、接触して、時間を共有してこそ、絆を深める生き物なんだということを感じた
- 寂れた島の映像から、日本の各地方が抱える現実が浮き彫りになっていたように思う
- ディレクターが何度も足を運ぶシーンに結構な時間を割かれていたが、あざとさを感じてしまった
- 島民に「ハートフルを探しています」と呼びかけていたが、漠然とし過ぎて伝わらなかったのではないか
- 「ハートフルを“みつける”」というコンセプトに疑問。感動したり心が温まるのは、結果として後からついてくるものではないか?
- 女性の過去の苦悩や絶望は丁寧に描かれていたが、それにどう向き合って、乗り越えたのかが描かれておらず物足りなかった
- 全体として興味深かったが、悔恨を抱えたまま静かに生きている人々の日常をかき乱す様子に、いたたまれない気持ちになってしまった
- 島が寂れているイメージばかりが残ったが、未来に向けてのポジティブなメッセージを最後に入れるとよかったと思う
- タブー視されているエリアを扱うような内容はネット媒体の得意分野だが、制限のある地上波でかなり攻めようとしている姿勢は、評価したい
《放送事業者側の主な回答》
- ハートフルに感じる部分は、見ている人に委ねているつもりだが、わかりにくいとのご指摘は真摯に受け止めたい
- 島のポジティブなシーンはあったが撮影許可が出なかったこともあり、嘘のない現状を見せた
- あまり皆が行かないような場所を取材しているが、やはり場所よりも人との出会いを大切に、これからも番組を制作したい