株式会社CBCテレビ
番組審議会
第678回CBCテレビ番組審議会
開催日 | 2022年5月13日(金) |
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出席委員 (敬称略) |
伊藤孝紀、梅村清英、大須賀彩、鹿目由紀、 戸苅創、山下陽子 |
オンライン出席 (敬称略) |
島田佳幸 |
書面参加 (敬称略) |
大谷恭代、宮田昌彦、渡邉好作 |
議題 | 1. 番組審議 『偽りのアサリ~追跡1000日 産地偽装の闇』 |
1. 番組審議
『偽りのアサリ~追跡1000日 産地偽装の闇』
放送日時 | 2022年3月30日(水)放送分 |
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放送エリア | CBCローカル |
スタッフ | 番組プロデューサー 松本年弘(報道部) 取材 吉田駿平(東京支社営業部) 吉田翔(報道部) |
ナレーション | 石井亮次(フリーアナウンサー) |
スタジオ出演 | 大石邦彦(CBCアナウンサー) |
《編成意図》
「アサリの産地偽装」は「食」に関わるスクープで、老若男女を問わず誰もが気になるテーマです。
そのため、より多くの視聴者に見ていただけるようにゴールデンタイムで放送しました。
CBCがゴールデンタイムでドキュメンタリー番組を放送するのは、2011年7月の『笑ってさよなら 四畳半下請工場の日々』以来のことです。
《番組概要》
取材班は3年前、“熊本産”アサリの産地偽装の実態を探るため、多くのアサリ業者が集まってくるという熊本県の有明海の干潟へ向かい、張り込み取材を続けると「中国産アサリが熊本産に化ける」一部始終をカメラに収めることができました。
さらに核心をついた証言を得たいと考え、熊本産アサリの産地偽装に手を染めてきた当事者に実名・顔出しでインタビューに答えてくれるよう、長い時間をかけて交渉しました。最初は取材に難色を示していましたが、2021年11月、その当事者はカメラの前で産地偽装の実態をこう告白しました。「中国などから輸入したアサリのほぼ100%が熊本産に偽装されている」
ことし1月、『報道特集』でこの証言や関係者への取材を交えて改めて「“熊本産”アサリの産地偽装の実態」を報道すると、それをきっかけに、国も熊本県も対応に乗り出しました。
この番組は「偽りのアサリ」を追い続けた1000日の記録。そこから見えてきたのは行政、業者、スーパー、消費者が複雑に絡み合ったニッポンの食の闇でした。
《審議委員の主なご意見》
- 独自で3年という長期取材の成果に、テレビ局の強いこだわりを感じた
- 過去にも産地を偽って摘発されたりするニュースはずっとあったが、今回は見事にこの現状をえぐり出した素晴らしい番組といえる
- 裏側を明らかにしていく追求の仕方や、マスコミから社会へ問いかけていく姿勢が非常に勉強になった
- 最後に流れた“選ばないことも、偽りを生み出してきたのか”というフレーズがとてもよく、視聴後ずっとその問いかけの言葉の意味を考えて過ごしていた
- 番組視聴後にこれほど考えさせられた経験があまりない、素晴らしい番組だった
- 中国産を選ばない消費者の姿勢にも問題があるのでは、という問題提起は十分に伝わった
- ゴールデンタイムでの放送に意思を感じた。途中にドラゴンズ情報も伝える地元愛があり、CMの入りどころも考えられていて、番組はシンプルで無駄がなかった
- 21時からの放送はドキュメンタリーとして珍しかったが、野球中継が途中に挟まれており、番組の流れが途切れてしまって残念だった
- 深夜にトラックのアサリを撒く映像がとてもセンセーショナルだったが、畜養自体は間違ったことではなく、偽装という行為との関連がわかりにくい映像だった
- 1時間ではあっという間でもったいない。90分ぐらいあってもよかったのではないか
- 勇気ある行動を起こした取材対象者が、今後どう行動するのか、数年にわたり寄り添って取材していただきたい