番組審議会

第664回CBCテレビ番組審議会

開催日 2020年12月11日(金)
出席委員
(敬称略)
沖田厚子、加藤宣明、島田佳幸、土屋諭、
戸苅創、野口あや子、土方邦裕
書面参加
(敬称略)
勝部陽子、加藤博、竹内秀樹
議題 1. 番組審議『よりそい ~静寂と生きる難聴医師 2020秋篇』
2. 年末年始特別編成の説明

1. 番組審議『よりそい ~静寂と生きる難聴医師 2020秋篇』

放送日時 2020年11月8日(日)25時29分~26時33分
スタッフ プロデューサー 大園康志(報道部)
ディレクター 原 誠(秘書部)
出演 今川竜二医師(尾鷲総合病院 内科)

《番組内容》

聴覚障害のある医師は現在、全国に11人と言われている。
三重県尾鷲市の勤務医・今川竜二医師(34)は、生まれつき音がほとんど聞こえない。
小1の頃、漫画の主人公「ブラックジャック」に憧れた。
しかし、日本の医師法では長年、「目が見えない者、耳が聞こえない者、または口がきけない者には免許を与えない」と定められていた。
その後、今川医師が高校1年の2001年に「差別法」だという声が全国で上がり法律は改正され、「耳が聞こえない者」の一文も削除された。
これが転機となって、今川医師は内科医になるという夢を果たし、地方医療の現場で奮闘する。
取材は2018年からはじめ、聴覚障害がある人にとって「マスクの壁」は大きいと訴える今川医師の主張を伝える。そこに2020年…「コロナの時代」がやってきた。
口の動きを読み取る読唇術を使って診療する難聴の医師の日々を追う中で、だれもが不自由な時代に入り、医療現場に、そして私たちの暮らしに何が大事かを考えた。
ナレーションも今川竜二医師本人が担当。ダイバーシティ(多様性)という現代社会の重要なキーワードを、リアリティと説得力をもって浮かび上がらせたいと制作した。

《審議委員の主なご意見》

  • 障害者の社会参加という面だけでなく、様々な視点を投げかけてくれる非常に優れた番組
  • 障害者の社会進出は「福祉」の視点で捉えられがちだが、「重要な働き手としての存在」でもあることを改めて考えさせられた
  • 番組を見て、世の中の障害者支援が本当にできているのか、問いかけられているような気がした
  • 街中には聴覚障害者は意外に多くいるが、彼らにとって読唇術が極めて重要で、コロナ禍のマスクが障壁になっていることがよくわかった
  • コロナ禍で立場が不安定になり他者を責めたり悲観する人が増えている中、障害があるからとためらわず、自ら人に頼り求めていく姿勢に感銘を受けた
  • 今川医師の患者に対する態度は、「人と人・絆や関係」を中心に置く介護ケア技術の一つ「ユマニチュード」の考えと共通していると感じた
  • 今川医師が、少年時代に読んだ「漫画」をきっかけに医者の夢を叶え、壁を乗り越えていく姿は、子どもたちにとって希望になると思う
  • 「境遇は選べないが、生き方を選ぶ事はできる」という本人の言葉が心に響いた
  • 聴覚障害のある今川氏に言葉を獲得させた母親の子育て話をもっと詳しく聞きたいと思った
  • ハンディのある人に寄り添った製品開発などは、福祉であり、また大きなビジネスチャンスへのアプローチでもあると感じた
  • ナレーション原稿について、今川医師本人が読む前提で番組側が考えているのではと、気になる場面や言い回しがあった
  • 「よりそい~静寂と生きる難聴医師」というタイトルからの想像をはるかに超える、医師本人の努力が密着映像から伝わってきた
  • タイトル「よりそい」についてはややもったいなく、個性のある番組だったので、もっと踏み込んだタイトルでもよかったかもしれない
  • 多くのテーマが盛り込まれている中でも、とくに今川医師の人間性に焦点を当てられていたことから、タイトルを「よりそい」にしたのではと納得できた
  • 深夜枠以外で見る機会が欲しい、大勢の人に薦めたいと思う

2. 年末年始特別編成の説明

番組編成担当が説明し、了承を得た。

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