株式会社CBCテレビ
番組審議会
第641回CBCテレビ番組審議会
開催日 | 2018年6月1日(金) |
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出席委員 (敬称略) |
鵜飼裕之、河本二郎、黒邉雅実、 島田佳幸、巣山芳樹、戸苅創、 濱田典保、水野明久、吉川トリコ |
書面参加 (敬称略) |
清水綾子 |
議題 | 1. 番組審議 「ダイドードリンコスペシャル 春ノ高山 |
1. 番組審議
「ダイドードリンコスペシャル 春ノ高山 屋台美、山王祭
~岐阜県高山市~」
放送日時 | 2018年5月12日(土) 15:00~15:54 |
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プロデューサー | 佐藤浩二(編成・制作局 制作・情報部) |
ディレクター | 坂田周吾(中日本制作所) |
出演 | 吉村作治 (エジプト考古学者 東日本国際大学学長・教授) |
ナレーション | 渡辺美香(CBCアナウンサー) |
《企画意図》
2016年12月、ユネスコは日本の祭りに登場する「山・鉾・屋台行事」を無形文化財産に登録しました。全国に見られる屋台を主役とした祭りの中でも「春の高山祭」は12基もの屋台が街を彩る日本三大美祭の一つに挙げられています。世界からも注目された日本の屋台の美を掘り下げ、何がその美を生み出し受け継がれてきたのかを、高山の人と風土の魅力、匠の技とともに描きます。
からくり奉納や、屋台曳き揃え。夜祭(※)といった様々な表情を描きながら、雅の美を丁寧に紹介、屋台祭りの醍醐味や意義を伝えていきます。
※今年の山王祭では、天候不良のため、夜の曳き揃えは中止。
《番組内容》
高山は、外国からもたくさんの観光客が訪れる、日本的な風景と心が息づく里。その地に続く山王祭を通して、世界からも注目される日本の美を描いていきます。
屋台は決して濡らしてはならない。漆に染みを残してはいけない。魔除けの意味を持つ屋台装飾を守らなくてはならない。しかし、今年の天候は怪しい。その年の祭りを取り仕切る組「宮本」は、雲ゆきを睨み神経をすり減らしながら祭り進行を検討し、「青竹」と呼ばれる指令書を各屋台組に配布します。それほど人々が大切にする屋台。からくり人形の技を継承する人々。屋台を下支えする「匠」の技を持つ人々の思い。そして祭り人たちの屋台に対する愛情を、番組は描いていきます。
今年、高山の春は桜満開。その中を屋台が威風堂々と進んでいきます。
《審議委員の主なご意見》
- 映像が美しく臨場感があり最後まで飽きさせなかった
- 現地へ行っただけではわからない高山祭のことがよくわかった
- 少子化や女人禁制といった現代の課題が祭りの中にも同様にあることを知った。よい構成だった
- 祭りに関わる人たちの間には、女人禁制を破る過程で生じた葛藤があったはずでそれを知りたい
- 伝統を引き継ぎ祭りに関わる人たちの普段の姿も見てみたかった
- 天候に気をもみながら祭りを進行する姿は自然の厳しさと折り合う人間の性も描かれていたように思う
- 天候との闘いがおもしろく、番組的にはよい展開になった
- 高山祭りの文化的、歴史的背景も知りたかったが、天候と闘うストーリーが強過ぎた
- 冒頭で外国人観光客が口々に「美しい」と言うインタビューがあったが屋台についてなのか、風景についてなのかよくわからなかった
- 英語字幕を付けた番組にすれば外国人の観光客が増えるのではないか
- 祭り自体が持つ意味などを博物学的見地から掘り下げてもよかった
- 地元の子ども達にスポットをあて、祭りの裏方の話を広げてもよかった
- 単に祭りの美しさだけではなく、郷土愛や人々の誇りなどを丁寧に伝え、地域の絆を強くするという番組の意図はしっかり表現されていた
- これだけの祭りを後世に伝えていくために、地元以外の者は何ができるのか考えさせられた
- 祭りは観光化されると運営者がプロ化する傾向があるが、文化を残すような方向で継承されていくべきで、この番組の高山の人たちの活動にはそうするためのヒントがあったような気がする
- 番組にオーソドックスで古風な雰囲気があり内容には合っていたが、仮に10年前に制作されたと言われても違和感がなかったかもしれず、一箇所でも新しい見せ方があるとよかった
- 祭りの裏側で大人の男性たちががんばっているのはわかったが、若者からの視点がみたかった
- 映像に若い世代が映っているため、祭りの後継者が不足していることが実感できなかった
- 雨に気をもむ過程を経て番組の最後に出てきた青空は「本物??」と感じるほどで、出来過ぎ位のまとまり方だった