株式会社CBCテレビ
番組審議会
第605回CBCテレビ番組審議会
開催日 | 2014年11月14日(金) |
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出席委員 (敬称略) |
青葉かおり、浅野幹雄、上田 豪、戸苅 創、 深田 実、野水優治、前村哲路、安田智彦、山本光子 (書面参加)浦西德一 |
議題 | 番組審議 スペシャルドラマ 「月に行く舟」の審議 |
番組審議
スペシャルドラマ 「月に行く舟」の審議
放送日時 | 10月4日(土)14:00~15:24 | ||||
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プロデューサー |
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演出 |
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脚本 | 北川悦吏子 | ||||
音楽 | 富貴晴美 | ||||
出演 | 和久井映見、谷原章介、橋爪功、栗原小巻 他 |
《企画意図」》
携帯電話やメールの普及により、人と人はいともたやすく繋がることができるようになった。
そんな時代に、たった数時間駅で隣り合わせた男と女による一風変わった大人のラブストーリー。
列車を待つ間に重なり合う二つの孤独な魂。何事も便利になり、男女の関係すらも簡単に結ぶことができる世の中で忘れがちな、人間の持つ誠実さを問いかける物語。
《概要》
岐阜の山間の小さな駅に佇む一人の女・理生。列車が行ってしまってもホームのベンチに座り続けていた。その駅にやってきた一人の男・涼太。彼はこの町に住む大御所作家から原稿をもらって帰るところだ。次の列車にはまだ時間がある。涼太は、空腹のため近くに店がないか理生に尋ねる。そのとき傍らの白杖が目に入り、彼女の眼が見えないことを知る。教えられた店に行ってみるとそこはつぶれていた。駅に戻った涼太は、待合室で理生と再会する。
やがて涼太の列車の時間が近づき、二人は別れを告げる。涼太が去った後、理生は風に揺れる小さな音に気付く。かさかさ・・・音の方向に手を伸ばすと紙袋のようなものが。「!」理生はそれを手にしてホームに向かって叫ぶ。「あの!忘れものじゃないかと思うんです!」理生が原稿だと思った紙袋はお菓子の包みだったが、涼太は有難く受け取る。
結局涼太はその列車に乗れず、空腹もピークに・・・。喫茶店がつぶれていたことを知った理生が、もう一軒カレーが評判のカフェを教えると涼太は「そこに一緒に行きませんか?・・・お礼にお茶でもごちそうします。」
こうして二人のささやかなデートが始まった・・・。
列車を待つ間の短い時間。
やがて女は、どこかに行くために駅にいたのではない、と告白する。
あそこで、ある人を待っていた、と・・・。
《審議委員の主な意見》
- 美しい田舎の情景描写や登場人物の描写が巧みで、完成度が高い。思わずロケ現場に行きたくなる程である。
- 男女の気持ちのすれ違いをうまく表現している。
- ストーリーの上では、ハッピーエンドだが、涼太(谷原章介)と理生(和久井映見)が別れなければならないラストシーンは切ない。
- 田舎の風景の緑、理生(和久井映見)の白いワンピース、青のカーディガンという色のコントラストが美しい。
- 少ない登場人物の中の二人、橋爪功、栗原小巻も味のある演技で、ベテランの風格を出していた。
- 田舎の静かな自然の音を使い、役者の単色化した服の色使い、そして、少ないせりふ回しと、すべてにおいて、単純化した表現を駆使した力作である。
- 2組の男女が会話の中でそれぞれ敏感に反応して、男性と女性の違いを上手に表現していた。
- 日本人の持っている本来のやさしさ、繊細さを表現し、魂に訴えるドラマである。
- 盲目の人たちを実際に取材した上で、ドラマの脚本が書かれたという印象を受けた。盲目の女性の感性を表現する描写にも、リアリティを感じた。
- 心温まるラブストーリーなので、土曜の午後ではなく、夜の時間帯にじっくり見たい番組である。
- 大人の世界のすばらしさを表現したドラマなので是非、若い人に見てほしい。
- 駅名を明らかにしなかったことは、ドラマのイメージを無限に広げ、よかった。
- ドラマを通じて盲目の世界の厳しさも表現している。
- ドラマに登場したコロン「月に行く舟」は、一体どんな香りだろうと想像し、ドラマに心地よい余韻を残した。
- 舞台となった田舎の駅を実際に明らかにした方が、地方の活性化になってよかったのではないか。
- ドラマのコンセプトである男の誠実さは表現できていなかった。
- ストーリー上、クライマックスがないまま、終わってしまった気がする。
- 男女の言葉のやり取りが多く、場面展開も少ないため、間延びした印象を受けた。
- CBCテレビの製作なので登場人物の設定もすべて地方にした方が、見ている人たちがもっと、感情移入できたのではないか。