BACKSTAGE(バックステージ) ”挑戦”に秘められたこだわりと仕事愛
CBCテレビ製作/TBS系全国28局ネット
毎週日曜よる11時30分
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全国に440店舗以上を展開する人気回転寿司チェーン「くら寿司」。おいしさもさることながら、他の回転寿司店ではあまり見られない、マヒマヒやボラ、さわらなど珍しいネタを食べられることでも知られている。それらのネタを生み出してきたのが、バイヤーの大濱喬王さん。くら寿司の“さかなクン”と呼ばれるほど大の魚好きで、魚の知識も豊富。これまでに20種類以上の新商品を手がけてきた。まだ知られていない美味しい魚を寿司ネタにするため、全国を駆け回っている。
お寿司屋さんが魚を仕入れるときは、市場で買い付けるのが一般的だが、くら寿司ではそれ以外にも独自の方法で買い付けを行っている。それが、獲れた魚を丸ごと買い取る「一船買い」。競りを通す必要がないため、獲れた魚は直接自社工場へ。新鮮な天然魚を安定した価格で買い取ることができるのだ。さらに、一船買いだと市場には出回らないような珍しい魚も手に入れることができる。
「見た目はカラフルでも、非常においしいものがある。それをお客様になんとか届けたい」
「一船買い」を始めたのは4年前。現在、全国3か所の漁船と契約し、年間300トンの魚を買い取っている。厳しい漁師の世界、最初はなかなか受け入れてもらえなかったが、大濱さんの熱意と誰にも負けない魚の知識が、見事、漁師の信頼を勝ち取った。この日は、愛媛県・魚島で漁に同行。一船買いでは、日によって獲れる魚が違うため、どんな魚が獲れたのか確認を行う。手慣れた様子で漁師さんの手伝いも行う大濱さん。何度も一緒に海に出ているため、漁師さんとのチームワークもバッチリだ。
大阪府にある「くら寿司貝塚センター」は、一船買いなどで仕入れた天然魚の加工を行う場所。大濱さんは、ここで仕入れた天然魚のチェックを行う。珍しい魚を見つけるたびに、大興奮の大濱さん。この確認作業がたまらなく好きだという。そして、ここで行われる加工には、大濱さんのこだわりががる。それは、せっかく仕入れた大切な魚を“少しも無駄にしたくない”という想い。そのため、寿司ネタにならない身の部分は、すり身にしてコロッケなどに加工。大濱さんは、それを商品化し魚を有効に活用している。他にも、骨やアラなどの食べられない部分は、養殖魚の餌に加工。仕入れた天然魚のうち、寿司ネタとして使いにくいものは、隣の市場で販売。全てを無駄にすることなく、使い切っている。
この日大濱さんは、まだ知られていない魚を商品化するため、商品開発担当の石澤さんのもとを訪れた。持参したのは、長崎産の「イラ」「ニザダイ」京都産の「カガミダイ」。これまでにも商品開発のため、何度も2人で天然魚の試食を行っているが、なかにはとても食べられないものもあったという。未知の魚を扱うため、苦労も多い。しかし、今回大濱さんが持ってきた魚は、どれも味は申し分なし。あとは、一定の大きさの魚が安定して獲れれば、商品化の可能性も高いとのこと。まだ見ぬ魚を求めて、大濱さんの挑戦は続く。