BACKSTAGE(バックステージ) ”挑戦”に秘められたこだわりと仕事愛
CBCテレビ製作/TBS系全国28局ネット
毎週日曜よる11時30分
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お客さんの目の前で商品の魅力を伝え、その場で買ってもらう「実演販売士」。なかでも、今注目を浴びているのが、1日に400万円を売り上げたこともあるスゴ腕の実演販売士・ロックオン錫村さん。通常、実演販売士はさまざまなジャンルの商品を扱うが、鈴村さんが扱うのは、洗剤・掃除用品のみ。多いときには、年間200日以上実演販売を行っている。
「洗剤は1000円以下のものも結構あるので10代~80代の方まで幅広く買ってくれる。いろんな方に売れる楽しみがあるから洗剤や掃除道具の実演販売はすごく面白い」
今回、実演販売を行うのは、東京スカイツリータウン内にある商業施設「東京ソラマチ」。観光客が多いため持ち帰りやすい商品がよく売れるそうだが、錫村さんが売るのはもちろん洗剤・掃除用品。この日は、千葉県・九十九里浜のほど近くにある事務所「錫村商店」で、実演販売の準備を行っていた。錫村さん曰く、実演販売は店頭に立つまでが勝負。そのため、準備と練習を入念に行い本番に臨む。
まずは、“汚れ物”の買い出し。錫村さんの実演販売で欠かせないのが、汚れた換気扇や蛇口などの道具。何年も掃除していないような “リアルな汚れ物”を求めて、解体業者へ足を運ぶ。ただの廃材も、錫村さんにとっては宝物。この日も、全部で7kgにもなる廃材を購入した。続いて、実演販売の練習。本番のようにテーブルをセッティングし、何度も繰り返しリハーサルを行う錫村さん。なかでも、こだわるのは汚れが落ちていくときの“見せ方”。商品の良さがより伝わるように、試行錯誤を重ねていく。
今回の実演販売で売る商品は、吹き付けるだけで簡単に汚れを落とすアルカリ性洗剤「超電水クリーン シュ!シュ!」と、エアコン専用ブラシ「ファンファン」。通常、実演販売士はメーカーやお店から頼まれた品物を売るが、錫村さんは自ら商品を開発し、それを実演して売っている。今回販売する「ファンファン」も錫村さんが手がけたもの。3年ほど前に発売し、累計24万本を売り上げた大ヒット商品だ。
「実演販売をしていると商品の欠点が見える。それが積み重なり、自分で作った方が早いと思って工場を探し始めた」
錫村さんが実演販売の世界に飛び込んだのは、24歳のとき。洗剤・掃除用品を扱うので「頑固な汚れにロックオン」から、名前をロックオン錫村にした。多くの実演販売士は、このような“販売士ネーム”と、購買意欲を刺激する“決め台詞”を持っているが、錫村さんは決め台詞を持っていない。
「決め台詞を言うと、ここで買わなきゃいけないっていう雰囲気が出てしまう。興味を持っていただいた方には買っていただきたい。帰りたい方は、気持ちよく帰っていただきたい」
そんな想いから、錫村さんは実演販売が終わった後にテーブルの下に潜る“しゃがみ落とし”という技を使っている。お客さんにプレッシャーを与えないように、あえて隙を作るのが狙いだ。
実演販売当日。開店時間の10時を過ぎても、錫村さんが実演販売を始める様子は一向に見られない。
「何時間でも待って確固たる腹のくくりがないと、目先の1個の販売を追ってしまう」
開店から1時間後。ようやく最初の実演販売がスタート。すると、あっという間に人が集まり出して商品が売れていく。途中でお客さんの流れが途切れることもあったが、その後も実演販売は大盛況。必殺技の“しゃがみ落とし”を使うと、商品を持ったお客さんが次々とレジへ。とっておきの汚れた換気扇を使うと、実演はさらに大盛り上がりを見せた。そして、午後5時。実演販売が終了。1日で「超電水クリーンシュ!シュ!」47個、「ファンファン」18個を売り上げた。満足いかない様子の錫村さんだが、お掃除用品ではこの場所での最高記録だ。溢れるほどの情熱を実演販売に注ぐ錫村さん。これからも、商品とお客さんとの出会いをドラマチックに演出していく。