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BACKSTAGE(バックステージ) ”挑戦”に秘められたこだわりと仕事愛

CBCテレビ製作/TBS系全国28局ネット
毎週日曜よる11時30分

ARCHIVE

2019年9月15日放送
第23回

食欲をそそらせる「食品サンプル&料理撮影」プロの技

ギャル曽根 ギャル曽根
彦摩呂 彦摩呂

新オープンのパスタ専門店 「食品サンプル」で集客する 西林浩司さん(44歳)

新オープンのパスタ専門店 「食品サンプル」で集客する 西林浩司さん(44歳)

パスタ専門店が新オープン 「食品サンプル」でお客さんを呼ぶ

レストランの店頭で見かける食品サンプル。昔とは大きく変わり、もはや本物と見分けがつかないほど。見る人の食欲を刺激し、集客にも一役買っている。そんな食品サンプルで多くのお店の売り上げをアップさせているのが、創業87年の食品サンプル製造会社「いわさき」の営業として活躍する西林浩司さん。サンマルクカフェなどで知られるサンマルクグループ800店以上の食品サンプルを担当している。
「昔は“飲食店=食品サンプル”という文化があった。またその時代に戻したい」

今回、西林さんが手がけるのは、全国211店舗(2019年9月時点)を展開する「鎌倉パスタ」。大阪に新店舗がオープンするため、約70点の製作を依頼されたのだ。まずは、本物と寸分違わぬ食品サンプルを作るために、実物の料理を細かく採寸し写真を撮影。さらに、ベーコンの数や粉チーズのかけ方など、あらゆるデータを収集していく。それが終わると、料理を梱包。食品サンプルを作る工場にそのまま持っていく。

製作工場があるのは、岡山県。職人の西山孝幸さんが食品サンプルの製作に取りかかる。カルボナーラの製作では、本当の料理のように麺やベーコン、粉チーズなどの食材パーツを準備。それをお皿の上に一つ一つ接着して、ソースを作ってかけていく。生ハムのサラダを作るときは、本物の食材を使って型を作り、食材パーツを作るところからスタート。おいしさを表現するために、それぞれ具材の見せ方や、盛り付け方にもこだわりながら、本物に近づけるための工夫を重ねる。出来上がった食品サンプルは、どれも本当においしそうだ。

この日は、完成した食品サンプルの陳列。西林さんの姿は、新しい店舗がオープンする大阪・吹田市のショッピング施設「Dew阪急山田」にあった。陳列ケースに食品サンプルを並べると、少し離れた場所から確認する西林さん。見る人の目線を考えて、商品が一番見えやすい角度に調整する。寝かせたものと比べると、その差は歴然。立てた方が断然おいしそうに見える。さらに、お客さんの動線まで計算し、少しでも目にとまるようにサンプルの向きを整えていく。

オープン初日。お店は大繁盛。食品サンプルの前で足を止めるお客さんや、食品サンプルを見て入店するお客さんもいる。そんなお客さんたちの姿を見るのが一番嬉しいと語る西林さん。これからも料理のおいしさを、食品サンプルで伝えていく。

おいしい「瞬間」を切り取る 料理撮影のプロの技術 松田翔子さん(33歳)

おいしい「瞬間」を切り取る 料理撮影のプロの技術 松田翔子さん(33歳)

「最もおいしそうな瞬間」を写真や動画で切り取る

続いて密着したのは、「ミニラクリエイティブ」の松田翔子さん。料理撮影の演出を手掛けている。写真や動画の料理を“おいしく見せる”のが、松田さんの仕事だ。

この日は、そうめんなどを作る食品メーカーからの依頼でHPに公開する「レシピ動画」の撮影。「レモンとオリーブオイルのイタリアンそうめん」を作る。レシピ動画といっても、ただ作り方を伝えるだけではない。
「わかりやすいのはもちろん、おいしそうに見える“シズル動画”を挟み込む」
“シズル動画”とは、食材や料理が一番おいしそうに見える瞬間を切り取ったもの。松田さんが、その瞬間として選んだのが、野菜を焼くシーン。霧吹きで水を足し、野菜が焼けた時の湯気を表現する。さらに、そうめんを水で洗うシーンでは、大きな水しぶきで清涼感を表現。動画を見た人に「作ってみたい」と思ってもらえるように、さまざまな方法で料理をおいしそうに見せていく。

7月初旬。この日、松田さんが撮影に挑むのは、コンビニエンスストア「ミニストップ」のソフトクリーム。店内で流すPR動画を製作する。しかし、ソフトクリームはおいしさを表現するのがとても難しい一品。色は白一色。湯気などを使っておいしさを伝えることもできない。

まずは、ソフトクリームを作る工程の撮影。薄暗い部屋の中で撮影が進んでいく。
「物が真っ白なので、影がないと立体感が出ない」
影を強くすると形は際立つものの、なめらかさが伝わりにくくなってしまう。そのため、松田さんは影の濃さを細かく調整し、納得いくまで試行錯誤を繰り返す。続いて、完成品の撮影。狙うのは、ソフトクリームのなめらかさが際立つ溶けはじめの瞬間。最高においしそうな瞬間を切り取るため、決して妥協は許さない。
「買ってみるとか、食べてみるとか、見た人が行動に移すきっかけになったら嬉しい」
そう語る松田さん。これからも最高においしい瞬間をとらえて、多くの人の心を動かしていく。

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