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BACKSTAGE(バックステージ) ”挑戦”に秘められたこだわりと仕事愛

CBCテレビ製作/TBS系全国28局ネット
毎週日曜よる11時30分

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2019年8月18日放送
第19回

人命を救う「特別救助隊」!緊急事態に備える24時間

武井壮 武井壮
堀田茜 堀田茜

特別救助隊に密着 緊急事態に備える 渡邉政人さん(36歳)

特別救助隊に密着 緊急事態に備える 渡邉政人さん(36歳)

救助活動件数都内No.1の「八王子消防署」 突然の“救助要請”に24時間備える

夏のレジャーで賑わうこの時期。突然の事故が起きたときに、現場に駆けつけてくれるのが通称レスキュー隊と呼ばれる「特別救助隊」。消防の専門部隊で、主な任務は人命救助。火災・交通事故・水難・山岳事故・テロまで幅広い現場で活躍する。今回は、東京「八王子消防署」の特別救助隊で隊長を務める渡邉政人さんに密着した。

渡邊さんが所属する「八王子消防署」は、管轄する地域が非常に広く、管内には世界一登山客が多いといわれる高尾山もある。救助活動件数は、都内最多。その数は、年間およそ1100件にものぼる。それらに対応するため、隊員たちは24時間勤務。いつでも出動できるように、日々訓練を重ねて緊急事態に備えている。

朝7時25分。出勤した渡邊さんは、さっそく隊服へと着替えた。特別救助隊を象徴するオレンジ色は、暗闇でも目立つため。他にも、主に消火活動を行うポンプ隊は紺色、救命処置を担当する救急隊はグレーと、任務によって隊服の色が異なる。渡邊さんが隊長を務めるのは「3部特別救助隊」。隊員は渡邊さんを含め6名。そのうち1名は、機関員といって救助車の操縦を担っている。渡邊さん曰く、隊員たちは仕事仲間以上の存在。
「お互いが信頼し合っている。一言で言えば“家族”。『俺の命は任せていい』って思ってもらわないと、信頼関係には結びついていかない」

朝8時30分。前日当番との引き継ぎを行う「大交替」から渡邊さんたちの勤務が始まる。これから24時間、八王子の平和を渡邉さんたち3部特別救助隊が守るのだ。引き継ぎを終え、最初に取り掛かったのは器材などの点検。人の生死に直結する現場だからこそ、点検作業は欠かせない。救助車にある約200種類2000点以上の器材を声に出して確認していく。確認箇所はとても多く、呼吸器のボンベだけでも12か所。器材をひと通り覚えるだけでも大変だが、隊員たちはそれら全てを構造まで把握し、自在に使いこなす。

点検を終えたら、訓練開始。本番さながらの緊張感で、火災現場を想定した訓練が進んでいく。訓練を行っている最中でも、出動が要請されれば、すぐに現場に急行しなくてはならない。そのため、隊員たちはいつでも出動できるように常に備えている。それは、昼食時も同様。指令が出てから出動するまで、かかる時間はわずか1分。
「1分1秒でも早く向かい少しでも早く助けられたら、いち早い社会復帰につながる。だからこそ、日々スピードを意識して仕事をしています」

午後は、ロープを使った「登はん訓練」。補助者と2人一組になり、器材を使わず7mの高さから垂らしたロープを登る。
「腕力だけで登っていく。特別救助隊は体力もないと現場で活動できない」
難なく登っていく渡邊さんたちだが、当然簡単に出来ることではない。日々鍛錬している特別救助隊だからできること。特別救助隊に入るために、毎年300~400名の消防士が受験するが、選ばれるのはわずか50名。まさに精鋭中の精鋭なのだ。

八王子消防署特別救助隊に、火災発生の緊急出動が要請された。住宅の2階から出火したとのこと。渡邊さんたちは、すぐさま出動。たくさんの消防車が現場に向かっていく。幸い住人はすでに避難していたため、渡邊さんたち特別救助隊は、ポンプ隊とともに消火活動。ほどなくして、家事を消しとめた。必死の消火活動をうかがわせる水浸しの現場。炎と激しく戦ってきた渡邊さんたちの隊服は、すすにまみれていた。

任務を遂行できるのは、仲間との信頼関係があってこそだと語る渡邊さん。これからも24時間気を抜けない現場で、人々の命を守っていく。

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