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BACKSTAGE(バックステージ) ”挑戦”に秘められたこだわりと仕事愛

CBCテレビ製作/TBS系全国28局ネット
毎週日曜よる11時30分

ARCHIVE

2019年7月14日放送
第15回

「ブランド品」の買い取り&修理に密着

松嶋尚美 松嶋尚美

日用品からブランド品まで リサイクルショップ査定員 山添陽平さん(29歳)

日用品からブランド品まで リサイクルショップ査定員 山添陽平さん(29歳)

リサイクルショップの買取査定 お客さんが満足する価格をつける

全国に186店舗を展開する総合リサイクルショップ「トレジャーファクトリー」。洋服やカバン、家電、食器、家具、ブランド品などの幅広い商品を取り揃え、創業以来右肩上がりの成長を続けている。今回は、買い取りの査定を行う山添陽平さんに密着した。

お客さんがいらなくなったありとあらゆる物に値段をつける山添さん。
「扱うアイテムがたくさんあるので、自分の知識が追いつかないと感じることもあります。そういった部分では一生勉強しなきゃいけない」
理想は、少しでも高く買い取り、少しでも安く売り出すこと。査定を行う際は、定価はもちろん、現在の市場価値、買取実績を参考に買取額を決めていく。ただし、簡単に金額を決められないのがこの仕事の難しいところ。この日お客さんが持ってきたのは、ナイキの「エアジョーダン1」をはじめとした12足のレアなスニーカー。愛好家の多いスニーカーは、定価以上で取引されることもあるため、より慎重に価値を見極めなければならない。一足ずつ査定を行い、買取価格を提示。お客さんに納得してもらい、無事買取が成立した。

そして、さまざまな品物を買い取るなかで最も査定が難しいのがブランド品。
「コピー品が持ち込まれる可能性が一番高い」
続いての査定依頼は、ルイ・ヴィトンの小銭入れ。約10年前のモデルで、定価は4万円ほど。金具部分に少し使用感が見られる。お店での販売価格を考えた上で、ギリギリの高値を提示した山添さんだったが、お客さんに納得してもらうことはできなかった。ブランド品は、強い愛情が注がれるため、簡単には手放したくない人も多い。
「難しいですね。やっぱり」
例え買い取ることができなくても、品物を持ってきてくれることに対して常に感謝していると語る山添さん。高価なものでも、安価なものでも、真摯に査定を行う姿勢は変わらない。これからも見る目を養い、物の価値を見極めていく。お客さんの笑顔のために。

依頼殺到!!「色」にこだわるブランド品の修理職人 金刺久栄さん(38歳)

日用品からブランド品まで リサイクルショップ査定員 山添陽平さん(29歳)

注文殺到のブランド品修理 実物と寸分違わぬ色を作る

ブランド品を売る人もいれば、修理に出す人もいる。東京・二子玉川にある「美靴工房(びかこうぼう)」は、靴やバッグの修理専門店。ここで働くのが、金刺久栄さん。修理をはじめて1年の新人修理職人だ。カバンの修理で一番多いのは、汚れや経年劣化による色落ち。金刺さんは、それらに再び色を戻す「色補修」を担当している。

この日、金刺さんが修理するのは、ボッテガ・ヴェネタのバッグ。元々はベージュ色だが、全体的に若干の色落ちがあり、持ち手部分は経年劣化でかなり変色している。これを元の色味に補修していくのだ。色補修の行程は、大きく分けて2つ。まずは、革専用の塗料を混ぜ合わせバッグの革と同じ色を作る。そして、作った塗料を色落ち部分に塗っていく。行程はこれだけだが、仕事は簡単ではない。

金刺さんが、さっそく色作りに取りかかる。色作りは、色補修を行う上で最も大変な作業。一度色を塗ると元に戻すのが難しい上、扱うのはお客さんの大切な品。失敗は許されない。細かい色の調整を何度も繰り返しながら、少しずつ目指す色に近づけていく。色ができてきたら、外に出て確認。元の色とのズレがないか屋内・屋外の両方でチェックを行う。納得がいかない様子の金刺さんは、席に戻って再び色作り。自分の目指す色ができたところで、先輩職人にチェックを依頼する。

チェックをするのは、先輩の保科美幸さん。彼女は、海外からも依頼が殺到するブランド修理のカリスマ。金刺さんが、修理職人になったのも、保科さんの存在が大きく影響している。
「保科が仕上げている物を見て、私もそういう風になれたらっていうのが始まり」
チェックをした保科さんは、色のズレを指摘。いくら元と同じ色の塗料を塗っても、革の種類や状態によって発色が違ってくる。そのため、塗ったときにどんな発色をするか想像して色を作らなければならないのだ。これこそが、色作りをする上での最大のポイント。金刺さんが保科さんに常々指導されていることでもある。

色作りを終えて、午後は色塗りの作業。まずはバッグ全体に色を入れていく。色を塗るときに大切なのは、はけを大きく動かし均等に塗ること。全体の色塗りを終えたら、汚れのひどい持ち手部分。細かい部分も多いため、神経を使う作業だ。金刺さんは、色に統一感を出すために、汚れ具合に合わせて塗る色を変えながら、麺棒とハケを使って細かく塗っていく。妥協のない作業が続き、ようやく修理が完了した。

補修を終えて、バッグが美しく蘇った。汚れていた持ち手部分も、まるで新品のよう。こだわり抜いた作業の積み重ねが、品質の高い修理につながっている。
「目標はお客さんに喜んでもらうこと。私に仕上げてほしいと思ってもらえるような職人になりたい」
そう語る金刺さん。これからも腕を磨き、修理職人の道を歩んでいく。

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