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BACKSTAGE(バックステージ) ”挑戦”に秘められたこだわりと仕事愛

CBCテレビ製作/TBS系全国28局ネット
毎週日曜よる11時30分

先日の放送で、番組内容に一部誤りがございました。「チンアナゴ」と紹介した映像を「ニシキアナゴ」と、「タコクラゲ」と紹介した映像を「ミズクラゲ」とそれぞれ取り違えておりました。お詫びして訂正いたします。

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2019年6月30日放送
第13回

池袋サンシャイン水族館!年3回の水抜き大掃除

ヒロシ ヒロシ
新井恵理那 新井恵理那

年3回水抜き大掃除 魚の命を守る飼育員 木村亮太さん(23歳)

年3回水抜き大掃除 魚の命を守る飼育員 木村亮太さん(23歳)

年に3回の“水抜き”水槽大掃除 魚3000匹の命を守る

“空飛ぶペンギン”で有名な東京・池袋にある「サンシャイン水族館」。関東No.1の動員数を誇り、都会のビルの中という限られたスペースに550種約2万3000匹の海の生物たちが展示されている。そんなサンシャイン水族館をBACKSTAGEで支えているのが、飼育員の木村亮太さん。水族館では、約50人の飼育員が活躍しており、木村さんが担当するのは、4つの水槽。深海魚から熱帯魚まで、約3000匹の魚たちの命を預かっている。

魚たちの健康を守るため、エサは手作り。海で食べていたエサに近いものを3種類混ぜて作る。木村さんは、食べる負担を減らすために、身を小さく切り、皮や殻なども丁寧に取り除いていく。
「冷凍のエサを使っているんですけど、中の栄養素が壊れてしまうので、エサにビタミン剤を混ぜてあげています」
エサの用意ができたら、水族館のバックヤードへ。約1000匹のマイワシが均等に食べられるように、広くエサを撒いていく。その後も、魚たちに異常がないかチェックを行い、赤ちゃんクラゲの世話をする。お客さんの前にデビューするまで大切に育てるのも、木村さんの大事な仕事だ。

この日、オーストラリアからオスの「ゾウギンザメ」がやってきた。ゾウの鼻のような形の口をもつゾウギンザメは、国内でサンシャイン水族館を含め2つの水族館でしか見られない珍しい深海魚。現在メスしかいないため、水槽にオスを入れて国内初の繁殖を目指すという。そして、新しく迎える魚もいれば、送り出す魚もいる。「ヒョウモンオトエイ」は、別の水族館にお引越し。こうした魚の搬入・搬出も木村さんたちが行うが、そこには都会の水族館ならではの苦労がある。搬送の手段は、エレベーター。他の人も利用するため、それも考えた上で迅速に運ばなくてはならない。しかも、エイのように大きな魚の場合、水槽がエレベーターに入らないので、搬送はさらに慎重を極める。魚をブルーシートに包んだまま、数人がかりで地上まで運んでいくのだ。無事に魚を見送って、木村さんは安堵の表情。
「元気に生物たちが暮らしていけるのが一番。向こうでも元気でやってほしい」

幼い頃から、海の生き物が好きでたまらなかったという木村さん。その魅力を多くの人に伝えたいという思いから、この仕事を選んだ。飼育員になって今年で2年目。魚への探究心は、深まるばかり。見せてくれた魚の図鑑は、ボーナスで購入した高価なもの。魚に関する知識をまとめているノートには、飼育員として欠かせない情報が、イラスト入りでびっしりと書き込まれている。こうして日々勉強を続けるのは、担当する魚たちの命を守るため。その知識は、水族館の接客でも日々生かされている。

この日は、沖縄の海をテーマにした巨大水槽の大掃除。“落水清掃”といって、魚を別の水槽へ移し、水を全て抜いて中を綺麗に掃除するのだ。大掛かりな作業のため、行われるのは年に3回。魚の命にも関わるので、絶対にミスは許されない。入念に段取りを確認してから清掃に取り掛かる。まずは、水槽の水抜き。残った水が2割ほどになったところで、ダイバースーツに着替えた木村さんが水槽の中へ。約1000匹いる熱帯魚を少しずつ捕まえて、バケツリレーで別の水槽へと運んでいく。水が減った状態での作業は、魚の密度が高くなり酸素濃度が低下するため、時間との勝負。魚たちが苦しまないよう急いで作業を行わなければならない。逃げる魚たちを1匹も見逃すことなく捕まえ、1時間ほどかけて移動作業が完了。体調の無事も確認された。しかし、大掃除はここからが本番。木村さんは綺麗な環境の中でしか生きていけない熱帯魚のために、水槽の隅々まで丁寧に清掃を行う。水槽の中のサンゴについた汚れも綺麗に落とし、3時間かけて巨大水槽の大掃除が完了した。

翌日。綺麗になった水槽に魚たちが戻った。元気に泳ぐ熱帯魚の姿を見て、木村さんも嬉しそうだ。
「水槽が明るくなって、沖縄の海のように色鮮やかな姿をより再現できた」
これからも都会の水族館で、愛する魚たちの魅力を多くの人々に伝えていく。

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