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BACKSTAGE(バックステージ) ”挑戦”に秘められたこだわりと仕事愛

CBCテレビ製作/TBS系全国28局ネット
毎週日曜よる11時30分

ARCHIVE

2019年6月2日放送
第9回

10分であらゆる髪型に仕上げる!「QBハウス」の舞台裏

IKKO IKKO

わずか6か月で10分カット術を教える 水元聡さん(35歳)

わずか6か月で10分カット術を教える 水元聡さん(35歳)

10分で“ありとあらゆる髪型”に仕上げる

海外を含め、およそ700店舗を展開する巨大ヘアカットチェーン「QBハウス」。最大の特徴は、カット時間約10分、料金1200円という驚きの速さと安さ。普通のサロンと遜色ない仕上がりが人気を呼び、最近では女性客も増加している。そんなQBハウスをBACKSTAGEで支えているのが、トレーナーの水元聡さん。仕事場は、スタイリストを育成する研修施設「ロジスカットスクール 東京校」。6か月間の研修を通じて、水本さんは、生徒たちに10分であらゆる髪型に仕上げる技術を教えている。
「10分で髪を切るのは、不可能ではない。それを可能にしていくことが、技術を高めていくことに直結している」
まずは、前髪の切り方を教えていく水元さん。下方向につまんで切ると毛先が揃いすぎてしまうため、自然な前髪に仕上げるには、何度もハサミで調整しなくてはならない。そこで水元さんは、時間をかけずに前髪を切るテクニックを生徒に教える。それは、前髪を額の生え際より、少し持ち上げて切ること。すると、トップと生え際でズレが生じ1度で自然に仕上がるのだ。これが10分カットを実現する時短テクニック。

時短テクニックは、接客のときにもある。それが、意外に時間のかかる髪型のオーダー。例えば、「すっきり」「普通に」「短く」などお客さんの感覚でしか判断できないオーダーの場合、仕上がりのイメージに差が出てしまい、切りなおしで時間をロスする可能性もある。そのため、水元さんは、具体的なイメージを持っていないお客さんには、「二択」の質問をするよう指導を行う。耳は出すのか、出さないのか。刈り上げるのか、刈り上げないのか。明確な選択肢を提示することで、共通の認識をつくりあげていくのだ。

研修では、独自のシステムについても教えていく。QBハウスでは、シャンプー・トリートメント・ブローなどの工程を省略。頭に残った髪の毛を“エアウォッシャー”と呼ばれる装置で吸い取るだけで大幅に時間を短縮している。さらに、カットした後の髪の毛を瞬時に吸い取る“棚下吸引機”を完備。片付けの時間を短縮し、回転率アップにつなげている。そして、スタイリストの移動を少しでも減らすため、道具を置く棚の位置まで計算。徹底的にムダを省いて“10分カット”を実現している。

こうした「システム」と「カット技術」の両面から、時短テクニックを教えていくQBハウスの研修施設。カットサロン業界では、美容師免許をとって店に就職しても、お客さんの髪を切るまでに数年かかる人も多いというが、QBハウスでは、6か月の研修の後、店舗へ配属。すぐにお客さんの髪を切ることになる。この日は、3名の生徒の卒業式。彼らは、水元さんから半年間にわたって、知識・技術・接客を教え込まれてきた。水元さんは、生徒たちに手作りの卒業アルバムを手渡して、彼らの門出を感慨深げに見送った。

「10分という時間のなかで、自分の能力を最大限に発揮する。失敗したとしても、次はそうしないように考えていくことが、この仕事の楽しさ」
より速く、そして美しく仕上げるために。水元さんは、これからも惜しみなく技術を伝えていく。

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