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BACKSTAGE(バックステージ) ”挑戦”に秘められたこだわりと仕事愛

CBCテレビ製作/TBS系全国28局ネット
毎週日曜よる11時30分

ARCHIVE

2019年5月5日放送
第5回

流行発信地!東京・渋谷 の外国人観光を支える

パトリック・ハーラン パトリック・ハーラン
厚切りジェイソン 厚切りジェイソン

3時間半で100人を案内する渋谷案内人 村岡映子さん(52歳)

3時間半で100人を案内する渋谷案内人 村岡映子さん(52歳)

渋谷に来た外国人観光客の「突発リクエスト」に応える

多くの外国人観光客が訪れる日本。東京を観光する外国人に人気なのが、流行発信地・渋谷。その観光をBACKSTAGEで支えているのが、村岡映子さん。彼女が働いているのは、スクランブル交差点のほど近くにある、渋谷区の観光協会が運営する無料の案内所「青ガエル観光案内所」。毎日、朝10時から夜6時まで英会話のできるスタッフが常駐しており、村岡さんは1日3時間半ガイドとして活躍。日々約100人の外国人観光客を案内、どんな突発的な要望にも瞬時に応えている。フィリピンから来た女性たちは「鳥居を見てみたい」と村岡さんに写真を見せたが、その場所は東京・神田。渋谷からは徒歩で約9km。電車で往復すると約1時間かかる。観光時間は約3時間と聞いた村岡さんは、限られた時間を有意義に使えるよう、歩いて15分ほどで行ける明治神宮をすすめた。無事案内できたと思いきや、追加で女性たちから「餅つきを見たい」と難しい要望が飛び出した。
「餅つきは季節的なものなので見るのは難しいですが、お餅を食べられる場所なら案内できます。明治神宮から渋谷に戻られるなら、お餅も食べられる抹茶カフェがいいです」
そう言って、村岡さんが案内したのは、商業施設「渋谷ヒカリエ」の中にある抹茶や白玉などのメニューが楽しめるカフェ。即興でミニツアーを組み、女性たちの要望に見事に応えた。
「限られた時間を最大限楽しんでいただきたいので、的確に喜んでもらえるスポットをアドバイスできれば」

聞かれたことに答えるだけでなく、一歩踏み込んだ情報を提供するのが村岡流。その後も、次々と訪れる観光客の要望を聞き出し、ピッタリの場所をすぐさま案内していく。さらに、毎回必ず行き先を日本語とアルファベットの両方で記入してから、観光客に地図を手渡す村岡さん。
「バスとか乗り換えが必要な場合には、まだまだ英語が通じにくい場所もあるので、迷子になってしまった場合に対応できるように」
万が一を想定して、細やかな気配りも忘れない。

海外で長く暮らしていた村岡さん。過去の経験に対する恩返しから、この仕事を選んだ。世界中から訪れる人たちが楽しい時間を過ごせるように、これからも旅の手助けをしていく。

予約殺到!外国人向け渋谷ツアーガイド 野村昇吾さん(25歳)

予約殺到!外国人向け渋谷ツアーガイド 野村昇吾さん(25歳)

渋谷に来た外国人観光客の「突発リクエスト」に応える

続いて密着するのは、渋谷のウォーキングツアーガイドとして活躍する野村昇吾さん。渋谷でのガイド歴はまだ1年目だが、外国人向けのツアーサイトでは5つ星に近い評価を獲得し続け、常に予約が途絶えない。参加費1人2000円、約90分のツアーでは、センター街をはじめとするメジャースポットから、のんべい横丁などの外国人観光客が足を運びにくい場所まで楽しめる。

今回、野村さんのツアーに参加するのは、アメリカから来た5人家族と、カナダから来た1名で参加の男性。ツアーの始まりは渋谷のシンボルから。ハチ公像を前に、歴史と情報を織り交ぜて解説を行う野村さん。ただ現地に連れて行くだけではなく、ディープな情報が人気の秘密だ。そして、参加者が前のめりだったのが「ドン・キホーテ」での買い物。なかでも人気なのが、日本のお菓子。海外では珍しいお土産として重宝されているという。すると、アメリカから来た家族から、難しいリクエストが飛び出した。それは、「ベジタリアンでも大丈夫な辛いお菓子」。家族は、肉や魚など動物性食品を口にしない、菜食主義のベジタリアン。でもお菓子には、動物由来の成分が含まれたものが多い。野村さんは、パッケージに書かれた原材料をチェックしながらなんとか探し当て、無事リクエストに応えた。

渋谷では最近、ヴィーガンやベジタリアンの人に対応したメニューを出すお店が増えている。野村さんもツアーの空き時間を利用してリサーチを欠かさない。一口に菜食主義と言っても、国や思想によって、口にできるものはさまざま。これらに対応しつつ、より良い案内を行う必要があるのだ。しかも野村さんは店を調べるだけでなく、普段から実際に足を運び、自分で口にしている。

ツアーを終えて、観光客を見送った野村さんは、再び「ドン・キホーテ」へ。先ほどスムーズに案内できなかった部分を改善しようと、菜食主義の人が食べられるものを確認しに訪れた。大切なのは、自分の足で情報を得ること。
「ネットで調べても、実際に食べるとうーん…となったことがあったし、ラーメン屋さんの自動販売機に英語のメニューがないこともある。そういうことは、足を運んでみないとわからない」
こうした下調べと細やかな心配りが、世界から来たツアー客の満足度にもつながっている。

翌日。この日の日中は、ツアーガイドはお休み。しかし、野村さんは渋谷の街頭に立っていた。日々のツアーガイドに役立てるため、空いた時間はガイドボランティアを行っているという。さっそくシンガポールから来た女性たちが話しかけてきた。100円均一のお店「ダイソー」に行きたいという女性たちを、野村さんは連れて行ってあげることに。
「僕らにとっては日常の何気ない一日だけど、海外の方にとっては少ない時間の中での交流。思い出に残ることもあるので、友達になることも多いです」
そんな思いもあって、野村さんはサービス精神も旺盛。歌を歌ったり、トークで盛り上げたり、道中でも観光客を楽しませる。話をしている間に目的地に到着。ただ連れて行って案内するだけではない心の通った交流ができた。こうして、友達になって国際交流の輪を広げることが、野村さんの働く原動力。これからもガイドとして、日本のインバウンドを支えていく。

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