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BACKSTAGE(バックステージ) ”挑戦”に秘められたこだわりと仕事愛

CBCテレビ製作/TBS系全国28局ネット
毎週日曜よる11時30分

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2019年4月21日放送
第3回

日本最大級のサーカス団!木下大サーカスを支える

武井壮 武井壮
奥野史子 奥野史子
(「シルク・ドゥ・ソレイユ」元パフォーマー)

木下大サーカス照明・音響担当 中尾展久さん(38歳)

木下大サーカス照明・音響担当 中尾展久さん(38歳)

大阪から名古屋へ4日間で大移動

動物たちが大活躍する迫力満点のショーや、人間離れした華麗なパフォーマンスで観客を熱狂させる「木下大サーカス」。観客動員数年間約120万人を誇る日本最大級のサーカス団。その華やかな舞台を照明で輝かせているのが、中尾展久さん。照明だけでなく、会場を盛り上げるための楽曲を流す音響も担当。木下大サーカスをBACKSTAGEで支えている。
「人間の限界技みたいなのが多いので、毎回同じタイミングにはできない。動きを見て僕らがしっかり合わせる。何が起こるか分からないのがサーカス」
開演前には接客などの仕事もこなす中尾さん。総勢70人の団員は、全員が木下大サーカスの社員。そのため、あらゆる仕事を皆で協力しながら行っているという。

大阪公演最終日。最終公演を終えて、中尾さんたち団員は社長の元に集まっていた。これから引っ越し作業を行うという。日本各地を移動して周る木下大サーカスは、3か月ごとに公演地を移すため、年4回も引っ越しがあるのだ。巨大テントに加え、受付や売店などのコンテナ50基。これら全てを、次の公演地である名古屋まで4日間で移動させなければならない。少しの時間も無駄にできないため、さっそく引っ越し作業開始。中尾さんが担当するのは、主に電気回り。照明器具やスピーカーなどの回収をする責任者として、作業を進めていく。
「テントの中はほぼ1日でやってしまう。スピード命です」
まずは、500本近くあるというケーブルを次々と回収。中尾さんは電気工事士の資格を持っており、会場のケーブルの設置は全て自分の手で行っている。そのため、引越しの時にもスムーズに作業ができるのだ。回収した機材は、普段音響室として使っているコンテナの中へ。スペースを無駄にすることなく、荷物をびっしり収納していく中尾さん。移動の多いサーカスで培った、まさにプロの技。夜の11時まで引っ越し作業が行われた。

移動2日目。この日も各所で作業が続く。荷物の積み込みを終えたコンテナは、一基ずつトラックに乗せられ名古屋へと運ばれていく。中尾さんはひと仕事を終えて、奥様の梨沙さんと仲良く昼食。梨沙さんも、木下大サーカスのパフォーマーとして活躍する団員の1人。サーカスで出会い、結婚13年目。お子さんは3人いるという。この日も、撤収作業で一日中大忙しの中尾さんだったが、自宅に帰ると夕飯の支度。パフォーマーである梨沙さんの体調を考えた献立で、この日のメインは、中尾家特製ハンバーグ。家族揃って、楽しく食卓を囲む。

移動3日目。中尾さんはフォークリフトを乗りこなして作業。引っ越し作業のために免許を取得したという。そして、引っ越しはいよいよ佳境へ。サーカスのシンボル・巨大テントの解体も行われ、この日のうちに無事撤収された。

いよいよ最終日。引っ越し作業は順調に進み、会場は無事元の更地に戻った。しかし、中尾さんにはまだ大事な仕事が残っている。それは、家族が暮らす自宅の引っ越し。手早く荷物を積み終えたら、梨沙さんと2人で子どもたちのお迎えへ。まずは、次男が待つ保育園へ行き、小学校へと向かう。大勢の友達に見送られながら、笑顔で学校を後にする子どもたち。3か月おきに転校しているが、どの学校でも必ずたくさん友達ができる。そして、車を走らせること2時間半。中尾さん家族が無事名古屋に到着した。3か月ごとに移動する大変な仕事だが、全国各地には、木下大サーカスを楽しみに待っているお客さんがいる。それこそが中尾さんの働く原動力。

名古屋の会場設営は順調に進み、公演に向けた準備も完了。ここでまた、新たな3か月が始まる。
「自分がレベルアップすることでサーカスが変わる。117年の歴史を守っていきたい」
これからも、日本中のお客さんを笑顔にするため、サーカスの家族は旅を続ける。

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