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第244回(2/12) センテナリアン

ゲンキリサーチャー:深沢邦之
ドクター:新井康通
ゲンキスチューデント:春香クリスティーン

最近は100歳を越えて元気な方が多くいらっしゃいますが、100歳以上の方は、ワンセンチュリー、一世紀を生きるという意味で「センテナリアン」と呼ばれています。最新の研究では、私たちの寿命を決めるのに遺伝はわずか25%、環境要因の方がはるかに重要だということが分かっています。そこで今回はセンテナリアンの秘密を徹底解明。センテナリアン研究の最先端施設に潜入し、100歳まで健康を保つ秘訣を明らかにします。

センテナリアンの共通点

慶應義塾大学の百寿総合研究センターでは、新井先生と広瀬先生の二人の先生が中心となり、健康長寿の秘訣を探る研究がされています。広瀬先生が実際に100歳以上の方を訪問検査し、その結果を新井先生が分析しますが、研究室にはこれまで20年以上をかけて採取された100歳以上の方800人、その家族や75歳以上の高齢者を合わせると1500人分の血液が保管されています。
その結果分かったのが、慢性炎症の少ない方が長生きだということです。

慢性炎症

私たちの身体が何らかの有害な刺激を受けた時に起きる反応が炎症で、これには急性と慢性があります。
急性炎症は切り傷ややけどなどで赤くなったり、風邪のウイルスでノドが腫れたり、長くても数週間程度で治る炎症です。
一方慢性炎症は、身体の中の細胞が老化したり壊れたりすることで起こる炎症です。細胞が老化するとそこから炎症物質が放出され、周囲の細胞に炎症が広がります。内臓の炎症には痛みが無く自覚症状もないため、気付かないうちに身体を蝕んでしまうこともあります。このような老化による慢性炎症を早めてしまう原因が、肥満やぜんそく、歯周病などです。
そして慢性炎症は1か所に留まらず全身に広がるため、動脈硬化や糖尿病、脳卒中やがんなど命に関わる病気に繋がります。つまり慢性炎症を抑えられるか否かが、健康長寿への分かれ道とも言えるのです。

食生活と身体活動

慢性炎症を抑えるポイントは食生活と身体活動の2つです。
(1)食生活
食生活の中で大切なのが、魚を摂ること。魚にはオメガ3系不飽和脂肪酸であるEPAやDHAが豊富に含まれています。これらの脂肪酸には慢性炎症を抑制する働きがあります。
魚を中心としたバランスの良い食生活が慢性炎症を抑え、健康長寿につながります。

(2)身体活動
定期的な身体活動は体重のコントロール、内蔵脂肪の減少の効果があります。さらに血液循環が良くなることで全身に栄養がわたり、慢性炎症が起きにくくなります。高齢者の方は散歩や体操など軽い運動で良いので、定期的に動くということが大切です。

老年的超越

センテナリアンのもう一つの共通点が幸福感。100歳以上の方に聞くと、皆さん今が一番幸せと話します。実際80歳前後を境に、身体は不自由ながらも幸せを感じている人が多いという研究データもあります。
このように歳と共に変化する物事の捉え方や考え方を「老年的超越」と言います。老年的超越が高まってくると、身体の悪い状況が気にならなくなったり関心を向けなくなったりすることで、幸福感が高まると考えられています。
今回番組で紹介したセンテナリアンも、身体的な衰えを一切気にせず、暮らしの中で楽しみを見つけ好きなことに没頭していました。このような前向きな精神も、100歳まで健康で生きられる大切な共通点の一つなのです。