アーカイブ

第232回(11/13) 糖尿病

ゲンキリサーチャー:木本武宏
ゲンキスチューデント:滝裕可里

血糖値が高い状態が続くことで全身の血管がボロボロになり、様々な合併症を引き起こす糖尿病。
日本では国民の5人に1人が糖尿病、もしくはその予備軍といわれていますが、血糖値が高くても自覚症状があまりなく放置している人が多いのが現状です。
その糖尿病の対策といえば厳しい食事制限があげられますが、今回は今注目されている「食べて」血糖値をコントロールする方法を新提案。さらに糖尿病と関わりの深いすい臓のがんを早期発見する秘策にも迫ります。

日本の食生活の流れ

「食べて血糖値をコントロールする」カギは、古代からの食生活にあります。日本の食生活の流れを見ると大きな転機が2回ありました。第一の転機は弥生時代に農耕が始まり、ごはんが主食になったことです。
弥生時代の前の縄文時代は狩猟生活で、主食はイノシシやシカ、鶏などのタンパク質でした。次にいつ食料が手に入るかわからず食べる回数も不安定な狩猟生活は「飢餓に備えるためのホルモン」をたくさん生み出しました。そのおかげで、少ない食事から多くのエネルギー源や糖を溜めこむシステムが身体に備わり、生き延びることができたのです。
しかし弥生時代に農耕が始まると安定した食生活が送れるようになり、同時に穀物の主成分である糖質の摂取量も増え、飢餓に備えるホルモンは必要性が低くなりました。その代り今度は、血糖値を下げる唯一のホルモン、インスリンが必要になってきたのです。縄文時代から弥生時代への転機ではインスリンを分泌する機械が格段に増えました。
そして第二の転機が明治時代の食の欧米化です。今度は脂と肉をどんどん取り入れる食べ方に変化し、インスリンをさらに多く必要とする食生活になりました。
しかし弥生時代から現代まではわずか2300年程度、一方縄文時代は1万年以上も続いたため、糖を溜めこむようにできた身体のシステムはそう簡単には変えられないのです。
そこで大切になってくるのが、インスリンを出す量とタイミングを的確にする事なのです。

食物繊維

小腸や大腸の下の部分にはインスリンをタイムリーに出すためのスイッチがあり、それが押されるとすい臓にインスリンを出すよう働きかけるホルモンが分泌されます。すると血糖値が上がりきる前のちょうど良いタイミングでインスリンが出るので、すい臓をいたわることができ糖尿病の予防・改善に役立ちます。スイッチを押すためにまず必要なことは、腸内環境を整えること。そのためには食物繊維を多く摂ることが大切です。食物繊維は食事の最初に食べると血糖値の上昇がゆるやかになったり、よく噛むことで満腹感が得られ食べ過ぎを予防したりしますが、それだけではなく食物繊維はインスリン分泌を促すスイッチも押してくれるのです。
厚生労働省が推奨する1日の野菜摂取の目標量350gだけでは食物繊維が足りないので、キノコ・海藻類で補うようにし食物繊維量は20gを1日の目安にしましょう。多いと感じる場合は加熱してカサを減らしたり、酢の物にしたりして工夫して摂りましょう。

すい臓

すい臓がんは早期発見が難しく、医療が進歩している現代においても手遅れになりやすい難しい病気です。その理由は自覚症状がきわめて少ないことと、他の臓器に隠れて検査でも見えにくい場所にあるということにあります。
しかし大阪府立成人病センターでは、超音波検査の際患者さんにミルクティーを飲んでもらうことで、すい臓がんの早期発見に効果を上げています。ただし通常の健康診断では水分を控えたりすることが多いため、どのように普及させていくかが今後の課題とのことです。
また、東京大学分子細胞生物学研究所では、iPS細胞を培養してすい臓の中にある「インスリンを生み出す細胞の塊」を作ることに成功。まだまだ課題は多いそうですが、1型糖尿病患者への移植を目標に日々研究が続けられています。

すい臓がんのサイン

すい臓がんのせいで糖尿病が悪化することがあるため、生活習慣は変化していないのに急に血糖値のコントロールが悪化したり、心当たりはないのに急に糖尿病になったりした場合は注意が必要です。
またお酒が弱いのに毎日飲酒し、さらに喫煙する人はすい臓がんのリスクが10倍と言われています。当てはまる人は1年に1回は検査を心がけましょう。