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第230回(10/30) ひざ痛

ゲンキリサーチャー:深沢邦之
ゲンキスチューデント:岡井千聖
ゲスト:武田修宏

ひざ痛などの関節疾患は、脳卒中や認知症と並んで健康寿命を左右する重大な疾患です。長い時間歩くと痛い、椅子から立ち上がるときに痛い、階段を降りるときに痛いなどの症状に当てはまる人は、日常的にひざが痛くなくてもひざ痛予備軍かもしれません。今回は座ったままできる簡単ひざ痛予防法や、ひざの軟骨を再生する驚きの治療法などをご紹介します。

ひざ痛の原因と予防法

・ひざ関節の軟骨がすり減って骨同士がぶつかりあい、強い痛みが生じる変形性ひざ関節症。階段の昇り降りでひざが痛いのは、変形性ひざ関節症の兆候です。
また、座りっぱなしでひざを動かさないこともひざ痛を招く原因になります。ひざ関節は薄い膜で包まれておりその中は関節液で満たされていますが、ひざが曲がったまま動かないと関節液が循環できなくなり、酸素や栄養が行き渡らず炎症が起きてしまうのです。
長時間の車の運転や、キッチンなどで立ちっぱなしの状態もひざの関節が動いていなので要注意です。

「テニスボールでひざ痛予防! ボールコロコロ作戦」
椅子に座ってテニスボールを床に置き、足の裏でボールを前後に転がしましょう。ひざが適度に動き、関節液が滞りにくくなります。
左右交互に、30分に1回は行うと良いでしょう。

・脚の外側にある外転筋。この外転筋の筋力が弱いと身体がバランスを崩しやすいため、脚を開いて安定させる歩き方、いわゆるがに股歩きになってしまいます。しかしがに股歩きはひざ関節の内側に負荷がかかり、軟骨が削れてしまいます。電車の中でふらつきやすい人や、靴の外側がすり減っている人は筋力不足が疑われます。

「ベルトを使ったひざ痛予防! ひらけ!ひざ」
椅子に座って脚を少し開き、ベルトでひざを縛ります。そして脚を左右に広げるように力をいれ、その状態を10秒キープします。
10回1セットで、1日3セット行いましょう。

・脚の筋力バランスの悪さもひざ痛の原因になります。脚の筋肉は大きく分けて4つありますが、その中の一つでも弱いと正しくひざを支えられなくなり、ひざ痛を起こすことがあるのです。この筋力のアンバランスは、自己流で運動やスポーツをする人に多く見られます。
「片脚立ち」で、脚の筋力のバランスチェックをしてみましょう。
手をやや広げて片脚を少し上げます。1分以上できたら脚の筋力バランスは問題ありません。脚をついたり大きくふらついたりしたら筋力のアンバランスが疑われます。

「ゴムバンドを使ったひざ痛予防 ザ・机もヒッパレ」
フィットネス用のゴムバンドを机の脚と自分の足にくくりつけ、机の脚を引く用に引っ張ります。これを、太ももの裏のハムストリングスを意識しながら行いましょう。

ひざ痛を起こすホルモン

これまで肥満の人がひざ痛になりやすいのは、主に体重のせいだと考えられていましたが、近年アディポカインというホルモンがひざ痛を引き起こすことが分かってきました。アディポカインは脂肪から分泌され、高血圧や動脈硬化にも関係すると考えられているホルモンです。
しかし逆に、ひざ関節に良いマイオカインというホルモンも存在しています。マイオカインは脂肪を分解しアディポカインの分泌も減ります。マイオカインは筋肉を鍛えるほど分泌量が増えるので、脚の筋トレは一石二鳥と言えます。

ひざ軟骨の再生

すり減ってなくなると再生しないと言われていた軟骨。しかし東海大学医学部付属病院では、軟骨再生シートを使って今までの常識を覆す研究をしています。軟骨再生シートは、患者の正常な部分の軟骨から細胞を取り出して培養し、その細胞を0.2oのシート状に加工して軟骨がすり減った部分に貼り付けます。するとシートが特殊なたんぱく質を出し続け軟骨を作る細胞が活性化し、軟骨が再生するという仕組みです。今はまだ研究段階ですが、実用化はそう遠くありません。ひざ痛がなくなる日も、近いうちにやってくるのかもしれません。

*軟骨再生シートは、あと1〜2年で先進治療として認可される見込みです。現在は臨床研究の受付はしていませんのでご注意下さい。