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第81回(11/3) 狭心症

ゲンキリサーチャー:木本武宏
ドクター:池谷敏郎

日本人の死亡原因の第2位、全国の患者数はおよそ192万人で、年間の死亡者数はおよそ20万人にものぼるという、心疾患。
その中でも、代表的なものが「狭心症」と「心筋梗塞」です。

どちらも心臓の血流が悪くなることで起こりますが、特に「狭心症」は患者数も多く、いつあなたを襲うかわかりません。胸の痛みだけではない「狭心症」の症状から狭心症の最新治療まで、今回は「狭心症」を徹底解明します。

狭心症とは?

冠動脈に動脈硬化が起こり、血液の供給不足で胸が苦しくなる病気が「狭心症」です。
血管壁にコレステロールや脂が溜まってコブ状の塊ができ、血管が細くなって心筋に十分な血液を供給できなくなることが原因なんだとか。
また、コブ状の塊が傷つくと血栓が生まれ、その血栓が血管を完全にふさぎ血流が滞ると心臓の組織が死んでしまいます。
この状態が「心筋梗塞」です。
よく似た「狭心症」と「心筋梗塞」ですが、「狭心症」は胸の痛みが数分から15分ほどで、安静にしていると自然に治まります。
一方「心筋梗塞」は胸の痛みが30分以上続き、呼吸困難や失神する場合もあります。

冠れん縮性狭心症

「冠れん縮性狭心症」は、胸の痛みなど「狭心症」の症状を伴わないため“隠れ狭心症”と言われています。「冠れん縮性狭心症」は、けいれんによって血管が狭くなって「狭心症」が起こると言われています。通常の「狭心症」は動いた時に発作が出ますが、「冠れん縮性狭心症」は夜中から明け方にかけての就寝中や、安静時に発作が起こるのが特徴。
また、胸やけや胸の痛みなどの症状がでるため、胃の不調だと思ってしまう方も多いようです。

NO(一酸化窒素)

「冠れん縮性狭心症」の原因とされているのが「NO」。
「NO」は血管の中、血管内皮と呼ばれる細胞の層から分泌され、血管を押し広げ血流を良くする働きがあります。しかし「動脈硬化」により血管内皮の機能が低下すると「NO」の分泌も低下し、血管が広げられなくなったり、筋肉が異常な刺激を受けることで血管がけいれん・収縮しやすくなるため、「冠れん縮性狭心症」を引き起こすんだとか。
喫煙や睡眠不足、疲労などの様々なストレスも血管内皮機能を弱らせ、「NO」の分泌を低下させると言われています。

<「NO」の分泌能力を高めるには?>
有酸素運動が効果的です。
忙しくてなかなか時間が取れないという方は、その場で駆け足のような足踏みをする「その場ジョギング」を行いましょう。
ポイントは鼻歌が歌える程度に気楽に行うこと。空いた時間にこまめに行い、1日トータル30分以上になると効果的です。

「狭心症」のシグナルチェック
下記のような症状が慢性的ではなく発作的に起こったら、狭心症のシグナルかもしれません。
(1)左肩のひどいコリ。
(2)左胸の締め付け。
(3)歯茎や奥歯の不快感。
(4)胸やけや吐き気。
(5)恋をしたような胸のざわつき。

「狭心症」の最新治療法
重度の狭心症患者を救ってくれる新しい治療法として注目されているのが「衝撃波治療」です。
衝撃波とは圧力波の一種で、物体が音速を超える瞬間に出る波のこと。
あらゆるものを破壊する力があると言われていますが、治療で使われるのは非常に弱い出力のもので、
手に当てても痛くない程度の強さなんだとか。
衝撃波を当てると、その振動でNOや血管を新しく作る物質が多く分泌されます。
麻酔も必要なく、副作用や合併症もないので、何度でもできるのがこの治療の特徴です。

現在この治療は、カテーテル治療やバイパス手術で治すことができない患者さんのみが対象の先進医療で、
国内では石川県立中央病院と東北大学の2か所で受けることができます。
実施できる施設は徐々に増えていく予定とのことです。