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第23回(9/9) 咳でわかるSOS

ゲンキリサーチャー:川島明(麒麟)

人間の身体は、不調があると熱やくしゃみ、頭痛、しびれなどの症状でそれを知らせようとしますが、咳はその中でも初期の頃に出るサインです。咳は日常のいろいろなシーンで出ますが、その裏に恐い病気が隠れている場合もあるのです。

咳のメカニズム

咳をすると肺の中に溜まっている空気が外に押し出されますが、その時に気管支の中に溜まっている痰や異物なども外に出されます。
さらに咳をする際には、気道にある線毛という器官が菌や異物の侵入を阻止しています。この線毛と咳という2つの異なる動きで、異物を外に出し、身体を守っているのです。
上半身を激しく使う咳ですが、消費カロリーは1回で2キロカロリー。一日咳が出続ければかなりの体力を消耗することになります。

恐い咳

(1)お風呂に入ったときに出る咳
湿度や温度が変わると気管支は収縮しますが、ぜんそくの場合この収縮の度合いが強くなります。
喘息は慢性的に咳が続く気管支の病気です。気道が狭くなって様々な刺激に敏感になり、激しい咳や炎症を引き起こします。ダニやハウスダスト、お酒やストレスが原因と言われています。
咳を繰り返すと気管支の線毛が抜け、細胞がむき出しになり、さらに咳が出続けるという悪循環に陥ってしまいます。

(2)寝ているときに出る咳
寝ているときに出る咳には、慢性心不全の可能性があります。慢性心不全は心臓のポンプ機能が弱まって血流がよどみ、行き場を失った水分が肺に染み出してむくみを起こす病気です。特に身体を横にすると水が溜まるため、寝ているときに湿った咳が出て、起きると咳が治まるのが特徴です。
また寝ているときに出る咳には、慢性心不全の他に逆流性食道炎の疑いもあります。胸やけと咳という症状が同時に出る場合には逆流性食道炎であることが多いようです。

さらに風邪の後の長引く咳や朝晩の咳、季節の変わり目に出るこれらの咳にはぜんそくの疑いがあります。
タバコを長年吸っている人には、肺の弾力が失われ、咳や息切れを起こすCOPDという病気が隠れていることもあるようです。
このような咳が3週間以上続く場合は、病院で診察を受けましょう。

誤嚥性肺炎

嚥下に関係するのど周辺の筋肉量が減少し、飲み込む機能が低下してくると、本来なら食道に流れるはずのものが気道へ流れ込んでしまいます。通常ならたとえ異物が気道に入ったとしても咳をすることで肺への侵入は防げます。しかし高齢者は咳をする機能が低下しがちで、吐き出すことができず異物が肺の中にまで到達してしまうのです。その結果、異物に含まれた細菌が肺の中で繁殖し、肺炎を引き起こします。

空えん下(からえんげ)

飲み込む機能が衰えていないかどうか「空えん下」でチェックしてみましょう。
30秒以内に唾液を3回飲み込みます。できなければ飲み込む機能に問題がある可能性があります。
この空えん下、検査だけではなく訓練にもなります。1日に5回程度意識してやると、飲み込むときに必要な筋肉の強化につながります。
また口の中の菌を減らす適切な口腔ケアや、食事をゆっくり摂ることも誤嚥性肺炎のリスクを減らすことにつながります。