２００３年から２００４年にかけて、学校に行けない「ゆいかちゃん」（見知由衣香さん・当時１２歳）を取材した。
ふだん彼女は、学校ではなくフリースクールや母親の勤務する老人介護施設で過ごしていた。
本人曰く「イジメられているわけではない」という。
しかし、学校へは行けない。その理由は「わかんない」。
その後、取材を進める中で、彼女の発する「わかんない」という言葉は、その時々で様々な意味を持っていると感じた。
それは「わかっているけど言いたくない」の時もあったし、「言葉に出来ない」こともあったと思う。
彼女を取り巻く大人達も、僕の質問に対して「わからない」という言葉を発する。
「ゆいかちゃんが学校へいけない理由」「自分のとってきた行動のワケ」、そして「彼女をどう育てるべきか」という母親の悩み。
人の行いの理由や心の動きは、簡単に言葉で説明できるものではない、人生の選択に正解は無い、というのを思い知らされた取材だった。
あれから１０年。
ゆいかちゃんは、その後どうしていたのだろうか？
社会人になったという話を聞いた。
今回ゆいかちゃんに、当時のことを改めて聞いてみたい。
同じ思いで悩んでいる子どもたちに対して何らかの助けになれば・・・、そんな思いで取材を始めた。
ＣＢＣアナウンサー 大石邦彦