極みの料理

2013年9月17日放送分

岐阜県下呂市産 ひじり茸

産地のご紹介

カントリーファーム 中島 輝さん

カントリーファーム 中島 輝さん

profile

1971年、下呂市金山町生まれ。大学卒業後、化学系のメーカーに就職。宮崎県の研究所で触媒開発の研究にたずさわった。1976年に帰郷した後は、父・高久さんが手がけていたカントリーファームの仕事を手伝いながら、ぶなしめじとひじり茸の栽培技術を学んだ。

私たちは、岐阜県下呂市にある飛騨金山で、ブナシメジとひじり茸の生産を行っています。加工や製品の配送・販売に至るまで、一貫した流通体制を整えて、主に首都圏の百貨店や地元の産直市場で商品を販売しています。

ひじり茸は、正式和名をウスヒラタケというきのこです。カントリーファームで生産しているものは、原種から少し変異を遂げた亜種。一般のウスヒラタケとは異なり、軸が太く、カサの部分は一輪の花のように開いています。一般的に、きのこの栽培は、種菌を専門の業者から購入して行いますが、ひじり茸は、種菌の培養から自社で行っています。つまり、世界で唯一カントリーファームにしか存在しないきのこなのです。

ひじり茸というネーミングは、ヒマラヤ山脈の秘境ネパールから渡来し、現地の聖者が食していたという一説と、高級志向の食材であることを踏まえて、位の高い人を意味する“聖”から命名しました。マイタケのように強い香りが特徴的なきのこと違って、料理の味にしっかりとなじんで旨みが増すきのこです。柔らかいのに食感があり、存在感があるのも魅力。肉との相性も良いのですが、お客様からは天ぷらがおいしいと評判です。

栽培は、多くのきのこと同様に、専用のビンを使って行いますが、難しさと手間のかかり方は特別です。ブナシメジは、菌の個体差が少なく、一斉に発生して、揃って大きくなります。ですが、ひじり茸は、荒くれ者。菌の培養段階で発生しようとしたり、きのこになっても大きさはバラバラ。個体差があって、同じように育ってはくれません。ですが、そうした野性味こそ、ひじり茸の持ち味。作り手としては、育てがいのある面白いきのこです。

きのこは基本、農薬を必要としませんが、培養室や発生室では雑菌の繁殖を抑えるために消毒を行うことがあります。ですが、私たちは、室内の消毒も一切せず、ときには外の空気も取り入れながら、独自の自然栽培を心がけています。ひじり茸は、飛騨金山という自然豊かな環境が育んだきのこ。まずは一度、味わってみてください!

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