極みの料理

2012年1月31日放送分

愛知県田原市産 いなだ

食材のご紹介

地魚 徳屋 赤川英雄さん(右)、徳宏さん(左)

地魚 徳屋 赤川英雄さん(右)、徳宏さん(左)

いなだは、大きさによって名称が変わる出世魚の若魚。大きくなったものは、冬の味覚としておなじみのブリです。いなだは、1kg~1.5kg程度の大きさですが、寒ブリと同様、冬には脂がよく乗って旬の時期を迎えます。ウチで仕入れているのは、ケンケン釣りの活魚だけ。大きな漁網で一気に水揚げされるものは、網に擦れてキズが付き、鮮度が落ちやすくなるため、釣りの魚には敵わないのです。

とは言っても、旬で釣りのいなだであれば、それで良いわけではありません。しっかり肥えて、身に脂が乗っているものを選ぶ目利きも重要です。仕入れの際には、漁師や競り子からも話を聞いて、確かなものを見極めるようにしています。絞め方も手抜きはできません。刃を入れる場所ひとつで鮮度も味も大きく変わってしまいます。魚は絞めても、身は生かす。素早く神経を抜き、血抜きをする。絞めたてのいなだの身は”ぶりぶり”です!

このいなだをはじめ、徳屋の仕入れは、田原市の伊良湖漁港を拠点としています。県内でも活魚の数は群を抜く多さ。なぜなら、渥美半島は、三重県の神島や答志島、さらに愛知県の日間賀島や篠島など、良質な魚が水揚げされる漁業の島に囲まれているからです。島々の漁師たちは、島の漁港だけでなく伊良湖漁港にも水揚げしてくれているのです。

徳屋のある豊川市から伊良湖までは50km以上ありますが、ほぼ毎日仕入れに行き、その翌朝には岡崎市内の地方卸売市場で販売します。ここには、私が魚売りを始めた頃から数十年来の付き合いになる取引先や、安城市や碧南市の料理店の大将たちが仕入れに来てくれています。ありがたいのは、「魚のことは徳屋に任せれば安心」と信頼してくださる取引先があること。その期待に応えたくて40年以上続けてきました。これからも真面目ひと筋に、親子二代で最高の魚を届けていきたいと思っています。

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