極みの料理

2010年11月30日放送分

愛知県あま市産 こまつな

食材のご紹介

JA海部東 営農課 伊藤美幸さん

 

JA海部東 営農課 伊藤美幸さん

こまつなは、江戸時代から栽培される歴史の古い野菜です。東京都江戸川区の小松川付近が発祥地ということで、こまつなと呼ばれるようになりました。旧甚目寺町(現:あま市甚目寺)や大治町で栽培されるようになったのは、平成に入ってからのことです。この地域は、名古屋近郊にあって作物を新鮮なうちを供給できるという利点を生かし、ホウレンソウや水菜などの軟弱野菜の栽培が盛んに行われてきました。そんな中、新たに栽培品目を増やそうと目を付けたのがこまつなでした。

発足以来、栽培出荷量は年々増加しています。ホウレンソウに匹敵するほどビタミン豊富で、健康志向が高まる中、爆発的に消費量が増えました。また、ホウレンソウが出回るのは冬期だけですが、こまつなは年間通して出荷しているので“夏場のホウレンソウ”とも呼ばれています。旬の時期は、生育に時間のかかる冬のほう。葉が肉厚になり、ほろ苦さの中にも甘みがしっかり感じられます。

シャキシャキとした食感もこまつなの醍醐味。とくに鮮度が落ちやすい夏は、収穫から出荷までの間も保冷庫や保冷車を使って、品質保持を徹底しています。自宅では水切りを良くして、冷蔵庫に立てて保存しておくと少し日持ちが良くなります。また、より良いこまつなを供給できるように、品種の選定や栽培指導も取り組んでいます。こだわりのこまつなをぜひ味わってみてください。

産地のご紹介

こまつな生産者 石川富美子さん

こまつな生産者 石川富美子さん

profile

1949年、旧甚目寺町生まれ。軟弱野菜を作る農家に嫁ぎ、子育てと主婦業に追われる日々のかたわら、畑仕事を手伝い始める。現在は定年退職したご主人と二人三脚で、こまつなの栽培を手がけている。

こまつなは、軟弱野菜のひとつで、名前の通りデリケートな作物です。長雨が続くと、晴れた途端に葉がしおれてしまったり、あまりに暑さが厳しいと、種が焼けてしまって芽が出ないこともあります。冬は雪に埋もれて、葉が傷んでしまうことも。気候の影響を受けやすいというのが、栽培の難しいところです。

ウチは、もともと主人の両親が葉物の野菜を育てていました。ところが早くに父が亡くなり、母一人で切り盛りしていたのです。そこで、私が手伝いに入り、こまつなの作り方を教えてもらいました。一年中栽培し、夏は播種から20日前後、冬は2ヶ月ほどで出荷します。夏は成長が早く、1日に5cm、10cmと大きくなるほど。収穫作業に追われる日々です。この時期はビーチパラソルが強い味方。これだけで涼しく、作業がグンとはかどります。夏は、どの畑でもパラソルの花が咲いていますよ。

今は、定年退職した主人も一緒に栽培しています。作付け面積も広くなり、出荷量も2倍近くになりました。トラクター作業や重労働は主人が進んで助けてくれて、二人での作業にも慣れてきました。仕事の中で、夫婦の会話やコミュニケーションができるのはありがたいことです。あまりにケンカをしていたら、こまつなのストレスになってしまうかもしれませんね(笑)。仲良くおいしいものを育てたいと思っています。

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