今までの公演
#317 | 大東駿介 「旅立ち」 |
今回のゲストは大東駿介さん。CBC制作のドラマで活躍中だ。大東さんが入ってくると、鶴瓶さんは言葉のイントネーションで「大東さんは関西の方ですね」と見抜いた。お二人は半袖短パンのアクティブな格好に、持ち道具としてタオルを首からかけた。いかにもフィットネスルームという感じである。ドラマは鶴瓶さんは板付き、大東さんがフレームインだ。今回のスジナシで『小さな奇跡』が起こることを、この時は誰も気付いていなかった。
大東は外から入ってくると「早いな!!」とフレンドリーに仕掛ける。鶴瓶はバランスボールの上で運動中。鶴瓶は「何してたん?」と聞くが、大東は「道が混んでたんや」と既に疲れている様子。二人の会話を聞いている限り、かなり親交が深いようだ。
鶴瓶は「あれ?今度舞台はいつやねん?前見に行ったときは脇役やったやないか」と話を展開する。大東は「それがな・・・今回はセリフもらえたんや!!」と嬉しそう。それを聞いた鶴瓶は「よし・・・やってみ!!」と無茶振りをする。大東は役者を目指しているようだ。大東はドアから外に出ると、息を切らしながら部屋の中へ入ってくる。すると下を見ながら「スゴイ・・・お母さん!凄い!!」と叫び、ドアから飛び出していく。それを見た鶴瓶は、意味が分からずに笑っている。そして鶴瓶は「何やそれ!!」とつっこむと、あまりの演技の下手さに上京を勧める。
鶴瓶曰く「上京することによって何か目標を作った方がいい」らしい。それを聞いた大東は「俺は目標にされる人間になりたい」と自信満々に言うが、鶴瓶は「何やねんそれ・・・根拠の無い自信やな」と呆れている。この時顔には出さなかったが、大東は小さな奇跡に驚いていた。その理由は後ほど。
大東は両親に何も言わずに上京しようとしていた。鶴瓶と大東の父親は同級生らしく、鶴瓶は「心配するやんけ!!」と止める。大東の両親も役者を目指していて、失敗したらしい。反対されるのは必至だ。大東は両親に言い出すのが怖かったのだ。大東は小さい頃から鶴瓶に面倒を見てもらっていたらしく「おっちゃんはもう一人の親父みたいなもんや・・・」と恥ずかしそうに感謝の気持ちを表す。それを聞いた鶴瓶も、照れながら首に巻いていたタオルを大東の顔に押し付ける。大東は「おっちゃんと居れてよかった・・・」と別れが寂しいようだ。感傷的になっている鶴瓶は「ヒロ・・・」と言うと、昔話を始める。実はこの時も大東は内心驚いていた。理由はプレビュートークで明らかに。
鶴瓶と大東の両親は、共に一流の舞台役者を目指した仲間だった。全員仲が良かったが、失敗してバラバラになってしまったという。鶴瓶は「俺らの夢・・・叶えてくれよ・・・」と大東に想いを託すとドアから出て行こうとする。いよいよ最後の別れ。大東が「おっちゃん・・・ホンマに・・・ありがとう。ビシッと決めて帰ってくるよ」と言うと、鶴瓶は「ほなな」と部屋を後にしようとする。大東は名残惜しそうに「おっちゃん!!」と引き止めると「風邪・・・引くなよ」と言う。鶴瓶は優しい笑顔で「おおきに」と部屋を出る。ここで中井さんのOKコール。
ドラマが終わると、スタジオでは「おーー」という声と共に拍手喝采。そしてプレビュートークだ。大東さんは、初めてもらった舞台のセリフをやったシーンで「ここだけは本当に反省会ですね」とスタジオを笑いに包んだ。しかし驚きの事実が明らかになる。ドラマ中に鶴瓶さんが言った『根拠なき自信』という言葉。これは大東さんがずっと座右の銘にしていた言葉らしい。泉谷しげるさんと映画で共演した際「俺は大東の根拠なき自信を凄いと思う」と言われたのがとても嬉しく、心に留めていたらしい。さらに感傷的になった鶴瓶さんが「ヒロ・・・」と呼びかけたシーン。これは大東さんの本名なのだ。勿論、鶴瓶さんは知らない。このセリフで、一気に役に入り込むことが出来たという。偶然に偶然が重なった、貴重なドラマが出来上がった。さてドラマにタイトル付け。ドラマの内容が内容だけに、中井さんのハードルも上がっている。中井さんはドラマに『旅立ち』とタイトルを付け、鶴瓶さんも大満足して収録が終わった。すると終わった途端、大東さんは「実は泉谷さんと共演した映画も『旅立ち』というタイトルでした・・・」と言うと、中井さんと鶴瓶さんは絶叫。この様子を見ると、中井さんは知らなかったようだ。偶然に偶然に偶然が重なった、ちょっぴり奇跡的なドラマになった。