今までの公演

#244

渡辺哲 「チヨちゃんのひみつ」

今回のゲストはシェイクスピアシアター出身の渡辺哲さん。舞台、映画、テレビなど存在感たっぷりの芝居を見せてくれる大ベテランである。

設定は「スイートルーム」。スタジオには高級感たっぷりのスイートルームが用意された。今回は中井さんの提案で、2人板付きでの即興スタートとなった。鶴瓶は落ち着かない様子でソファに座っているのに対し、渡辺は隣の部屋のベッドで鼾をかいて寝ているところでカウントダウンが始まった。果たして・・・・

沈黙を破って先に動いたのは鶴瓶。おどおどした様子で渡辺に近づき「どないしますねん?」と問いかける。状況がつかめない渡辺が「何の話?」と鶴瓶に設定の構築を預けると、おおまかな設定が見えてきた。

このスイートルームは、渡辺が泊まりたいと提案したのでやって来たが、どう見ても1泊30万ほどする。もちろん2人にそんなお金の持ち合わせは無い。そもそも2人は裏街道の仕事に手を染めており、30年もコンビを組んできたらしい。いつも高級旅館などに泊まっては、支払いもせず逃げてくるというのが、2人のやり口。しかし毎回そう上手くいくとも限らず、鶴瓶は絶えずビクビクしているらしい。しかし渡辺は逃げればいいと言って泰然自若に構えている。確かに毎回上手く潜り抜けてきた。きっと今回も上手く行くだろう。そんな感覚もあり一旦は落ち着きを見せるが、鶴瓶のある一言で状況は一変する。

鶴瓶と渡辺の共通の知り合いでもある「やちよ」ちゃん。

鶴瓶はチヨちゃんと付き合っており、いずれは結婚したいと言う。その瞬間穏やかだった渡辺の目が鋭くなる。鶴瓶がこの稼業から卒業したいと言い出すのを直感したからだ。

そしてやはり鶴瓶はこの仕事を辞めたいと言い出した。兄貴分の渡辺がそれを許すはずも無い。最初に鶴瓶を助けた恩を忘れたのかと迫る渡辺に対して、それでも鶴瓶は意志を変えようとしない。そこで渡辺は次の一手を打つ。「チヨちゃんのひみつ」を知っているといのだ。チヨちゃんには子どもがいるという爆弾発言。しかもその子の父親は、誰あろう渡辺本人だという。しかも今も毎月送金をし、面倒を見ているというのだ。これにはさすがの鶴瓶もショックは隠しきれない。そこへ続け様に爆弾発言「じゃあお前は義理のお父さんになるか、三郎くんの」。しかしこれには台詞を吐いた渡辺自身が困惑する。一人っ子で三郎は無いと・・・。そこで辻褄を合わせるために「三郎、二郎、太郎」の3人兄弟にしてしまう。子どもがいることにも驚きだが、3人兄弟という意外な事実を突きつけられ、鶴瓶も選択を迫られることになった。しかし毅然とした態度で「私はチヨちゃんへの愛を取る」と宣言をした。その台詞に観念したのか、渡辺はチヨちゃんのことを鶴瓶に任せると告げ、スイートルームを出て行くのであった。

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