今回からのスジナシはスタジオのセットの前に客席を設けた新バージョンとなった。お客様の目の前でスジナシドラマが繰り広げられるのだ。その最初のゲストは、船越英一郎さんである。設定は、「蔵」。鶴瓶は作務衣、船越はスーツで登場となった。船越は「サスペンスの顔」と言ってもいい俳優である。しかし舞台の経験は、演出のみで役者として芝居をしたことは一度も無いという。「蔵」を舞台に鶴瓶とどのようなドラマが繰り広げられるのか?とスタッフも客席も期待が膨らんだ。客席からのリクエストで2人一緒に蔵に入ってくる所からスタートすることになった。カウントダウンが始まっていよいよスタート・・。同時に動き始めるのだが最初に蔵に入ると以降の展開を決定する第一声を発しなければならなくなるという思いから2人ともなんとなく躊躇する様子だったが結局は船越が先に入った。船越のセリフから2人は兄弟で父親の葬儀に来なかった弟の船越が兄の鶴瓶と子供の頃遊んだ蔵に久しぶりに入ってきた・・という様子になった。元々は家を飛び出していたのは鶴瓶であったらしい。父親が家の相続の必要から兄の鶴瓶を呼んだというのだ。船越はその後家を出たのだが鶴瓶が家を継いだ後に父親の借金が2億円あったというのだ。船越は家を出た後、子連れのスナックの女性と結婚したと言う。2人は蔵の中でそんな現実に直面した話しをしながらも、「お前いっつも泣いてな・・。」「兄さんがいつもウルトラマンで僕が怪獣の役だった・・。」と子供の頃の思い出話に浸るという兄弟ならではの関係を演じる。蔵という狭い限られた設定ながらも肉親であるという関係からお互いの背景を作りだしてそれが絡み合っていくという深い展開になってゆく。しかしつじつまを合わせ話を器用に作って行くのは船越で鶴瓶はそれに所々合わせている。たまに鶴瓶が新しい展開の話を持ち出すのだが船越は、「いや・・、」とあっさりと却下するのだ。それは決して意地悪とかではなく話に矛盾が出るからなのだが鶴瓶はそのストレスを最終的に一気に晴らす作戦に出る。「その子供な・・・俺が生ませた子なんや・・・。」と船越が家を出た後に結婚した相手と鶴瓶は過去に関係があったことを告白する。固まる船越・・。しかし「聞かなかったことにする。俺はちゃんと育てるから、兄貴はこの家を守ってくれ・・。」と2人は固く抱き合うのだった。