今までの公演

#110 もたいまさこ

ゲストは個性派女優として有名なもたいまさこ。笑福亭鶴瓶の希望もあっての顔合わせとなった。即興ドラマの設定は「開店前のスナック」である。スタジオに用意されたセットは、独特な雰囲気をもった怪しげなものだった。個性派女優もたいまさこの持ち味は「微妙な間」。その「微妙な間」がドラマ直後から炸裂。スジナシ史上、類を見ない「開始直後から1分間の無言劇」がおこったのである。その間お互いのさぐり合いの目線、息づかい、一挙手一投足がまさにスジナシの醍醐味を体現していたと言える。二人は会社の上司と部下、もたいが上司で部下が鶴瓶である。会社に使途不明金が出て、もたいが疑いを掛けられているらしい。そこで鶴瓶がその鍵を握っていると思われる人間と接触するためにもたいを連れてスナックへやってきた。しかし鶴瓶が取ったアポがどうもあやふやで的を得ない・・。もたいは、そんなダメ社員の鶴瓶を攻めるが鶴瓶は、逆ギレし「女の上司の下で働くのは嫌なんだ!」とついつい口にしてしまう。その上、鶴瓶は、携帯電話や鞄、もたいの全財産が入った通帳や印鑑が入った袋などをタクシーに置き忘れたことに気づく。興奮を隠せないもたいは、更に厳しく鶴瓶を叱責する。緊迫した状況にも関わらずドジを重ねる鶴瓶だが、もたいの興奮した口調に再度強く口答えするが、あわてて公衆電話を探しに飛び出して行く。もたいは、一人になるが「初めてはっきりものを言ったじゃん。」とつぶやき、部下を思う気持ちが如実に現れる芝居を忘れない。暫くして帰って来た鶴瓶。「置き忘れたものは、全部タクシー会社が保管してくれていました。会社の使途不明金についても疑いが晴れたそうです!」と報告する。一件落着でふたりは思わず抱き合って喜ぶのだった。長年の舞台などで培ってきたもたいの絶妙なタイミングの押しひきは、鶴瓶をして「名作」と言わしめる程だった。

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