「本物のカッコ良さを教えてくれた!事務所の社長」

平松賢人[BOYS AND MEN]

各界で活躍する人たちにインタビューし、多大な影響を受けたお師匠さんとの師弟エピソードをご紹介するコラム。
今回は、名古屋を拠点に活躍中のエンターテイメント集団 BOYS AND MENのメンバーで、CBCテレビ「チャント!」の名物コーナー「全力!お助けちゃん」でお馴染みの平松賢人が、芸能界に導き育ててくれたお師匠さんについて語った。

師匠の第一印象は怪しい人!?

僕の師匠は、ずばり!うちの社長、「フォーチュンエンターテイメントの谷口誠治」です。

出会ったのは9年前、15歳のとき。僕は小さい頃からキッズモデルをしていました。中高生になりこのままモデルを続けるのか、学業に専念するのか悩んでいたときに、「名古屋は都会でありながら独自の芸能文化がない。名古屋で何かはじめたら面白いことが起きるんじゃないか。男性版の宝塚を作りたい」という熱い志を持った谷口社長がモデル事務所に来たんです。それで、声をかけてもらって、「とりあえずやってみよう」みたいな、軽い気持ちでチャレンジすることにしました。

そのときの社長の印象は、そんなに覚えていなくて…見た目だけですけど「ザ・芸能界の人」「怪しい人かも?」です(笑)。

「あきらめなければ必ず夢は叶う」

稽古場は、パチンコ屋さんの駐車場の非常口みたいなドアを開けると、事務所がある…っていう奇妙な場所でした。しかも、ダンスや演技の先生がいるわけでもなく「自分たちでどうにか形にしてくれ」っていう感じだったので、最初は「やられた!やっぱり怪しいかも!」って(笑)。

それでも社長を信じたのは、「しっかり稽古したら、お客さんに観せられるステージを俺が用意する」「まだ無名だしファンもいないけど、テレビに出られるようにする」って言っていたことを、ちゃんと実現してくれたから。ミュージカルを披露する場所を作ってくれたし、社長自らテレビ局をまわって僕たちを売り込んでくれたことで、音楽番組にも出演することが出来ました。

何人か事務所を辞めていくこともあったけど、僕もほかのメンバーも社長がずっと言い続けていた「あきらめなければ必ず夢は叶う」を信じていました。僕は実家暮らしで当時は学生だったから「失敗してもどうにかなる」って思っていたし、これまで何かに夢中になっても続けることをしてこなかったから、「今回は続けてみよう。その先の自分を見てみたい」という固い決意があったので、辞める選択肢はなかったです。

「おまえらすげーカッコいいぞ!」って初めてほめてくれた日

社長と絆が深くなったと感じたのは、一緒に夢を叶えたとき。名古屋で冠番組をスタートするにあたって、1万人ライブを目標に掲げました。

それまで僕たちはキャパ150人の場所でライブをしていて、でも、お客さんは10数人しか入らず、ステージ上のメンバーのほうが多い時期が続いていたんです。だから「さすがに無理だろう」っていう空気だったけど、番組を通していろんなことにチャレンジして、社長もたくさん動いてくれて“チケット完売!大成功!”ってなった、2015年の春でした。

それと、普段はすごく厳しくて僕たちをほめるなんて一切しなかった社長が、ナゴヤドーム単独ライブの大きな夢が叶う日、本番前に集められて「今まで俺と一緒に頑張ってくれてありがとう」「おまえらすげーカッコいいぞ!」って初めてほめてもらえて、「やっぱりついてきてよかった」って。忘れられない日になりました。

ボイメンの原点になった師匠のひと言

平松賢人[BOYS AND MEN]

礼儀作法も社長からしっかり教えられました。例えばテレビ局に行ったときなど、番組スタッフはもちろん、警備の人や清掃の人にも「出会った人すべてに挨拶をしなさい」と。そして、「どこに行っても低姿勢で謙虚でいなさい」と。僕はいつも応援してくれる人やお茶の間のみなさんに寄り添っていたい。大御所なのに低姿勢な人がいちばんカッコいい。

それと、僕たちが「カッコ良く見せよう」と思ってちょっと気取っていたときに、社長に見抜かれて「カッコはつけるものじゃなくて勝手についてくるものだから」って言われたんです。全力で物事に向き合ったり、夢に向かって努力することで、内側からカッコ良さが生まれてくるから、「小手先のカッコ良さだけでどうにかしようとするな」って。

この言葉をきっかけに、今のボイメンのスタイルが出来た気がします。「カッコつけず、とにかく全力で目の前にいる人たちを最高に楽しませよう!」って、気持ちが切り替わりました。

照れ臭いけど、師匠へメッセージを贈ります

全国ツアー中の『BOYS AND MEN HALL TOUR 2019 ボイメン劇場~令和旗揚げ公演~』では、ダンスリーダーとして僕が演出を考えました。今回はお笑いステージがメインで、ファミリーで楽しめる内容に仕上がっています。社長からどんな感想をいただけるのか、気になります。

社長ももう若くないので、くれぐれも体を大切にしてください。ボイメンのために生きてくれているのがすごく伝わってくるので、だからこそ、一生ついていきたいです。そして、メンバー全員想っています、「長生きしてください」って!

(このコラムはプロが恩人である師匠と対面、指導を受けた“下積み時代”を語り合うドキュメントバラエティ「師弟ご対面SHOW ~私、一人前ですか?~」(9月15日14時からTBS系列で放送)のスピンオフ企画)

pageup