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<論説コラム>トランプ大統領が日本に残した言葉「7月」と「8月」の行方は?

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<論説コラム>トランプ大統領が日本に残した言葉「7月」と「8月」の行方は? | CBC論説THEコラム | CBCテレビ


日本中で多くの人が「日米の絆」アピールを見ることになった4日間だった。アメリカのトランプ大統領が「令和」最初の国賓として来日した5月25日から28日の間、日本列島の気温も暑く、そして、太平洋を飛んで来た客人へのおもてなしもそれ以上に熱かった。

■イベント目白押し

新天皇との会見、日米首脳会談、拉致被害者家族との面会、そして護衛艦の視察などの重要行事に先立って、ゴルフ、相撲観戦、炉端焼きなどの“歓待メニュー”も数多く用意された。ワシントンポスト紙は「ほぼ観光客として過ごした」と書き、AP通信は「日本の安倍政権が接待のハードルを上げた」と配信した。

■トップ会談でのキーワード

今回の滞在日程の中、安倍首相とトランプ大統領が“会談”した機会は、メディアに紹介されたものとしては2回あった。5月27日の首脳会談と前日26日のゴルフ会談である。そしてこの2回のタイミングで、トランプ大統領は2つのキーワードを明らかにした。それは日米貿易交渉に関するもので、具体的な月の名前であった。ひとつは「July(7月)」もうひとつは「August(8月)」である。

■日本のための「7月」?

「7月」という言葉はツイッター上だった。
ゴルフを終えた後に、トランプ大統領が日米貿易交渉について「日本での7月の選挙後まで待つ」とつぶやいた。7月には参議院選挙が予定されている。それを抱える安倍政権への配慮と見られた。
「7月の選挙後」という言葉、英文では「until after their July elections」と「選挙(election)」に複数形の「s」が付いていたことから、決まっている参議院選挙の単数だけではなく、衆議院を解散しての「同日選」かと一気に観測が流れる一幕もあった。ゴルフ会談の中で安倍首相からそんなニュアンスが伝えられたのだろうかと。ことの真意はともかくとして「7月」という具体的な月名が残った。

■米国のための「8月」?

「8月」という言葉はトランプ大統領自らの口から出た。
日米首脳会談の席上、記者団に対して「8月に大きな発表がある」と語った。日米貿易交渉が妥結することを指していて、当然その決着内容は、アメリカ側の要求に応えるものであると示唆しているようだった。それを受けた日本政府が「8月」ということには一言も触れていないので、両国の合意ではないのであろう。

■頭の中は「大統領選」

安倍首相もトランプ大統領も「選挙」を控えている。
7月に国政選挙に臨む安倍首相に対し、トランプ大統領にとっての「選挙」は、来年2020年11月の大統領選挙である。トランプ大統領が発信した「7月」と「8月」、この2つを結びつけると、「7月の選挙までは配慮して待つけれど、それが終わった8月にはお返しをよろしく頼むよ」ということになる。その「お返し」はトランプ大統領の支持層が待つ農産物や自動車産業についての有利な回答である。
複数のアメリカ政治の研究者たちは口をそろえて言う「トランプ大統領の頭の中には自らの大統領選しかない」。

■再び日米首脳会談の「6月」

練りに練ったおもてなしは、大相撲夏場所千秋楽の観戦と大統領杯授与をピークに、国民の間でも大きな話題になった。しかし“トランプ旋風”が去った後に残ったのは「7月」と「8月」という具体的な時期のキーワードと、それによって「期限を切られた」という外交上の事実だった。それを前にした「6月」には大阪で開催されるG20サミットの場において、再び日米首脳会談が予定される。プレッシャーをかけられた日本がどう切り返すのだろうか。キーワード「6月」も一気に浮上してきた。

トランプ大統領は日本から帰国後にツイッターでこうつぶやいた。「大成功の旅」「ありがとう日本」。ビジネスマンのドナルド・トランプ氏は、大統領になってもビジネスマンであり、その交渉術が強い印象として残った「5月」の日本列島だった。

【東西南北論説風(105)  by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】

画像:写真AC

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