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<論説コラム>★In My Life with The Beatles(No.1)ビートルズを聴いて涙腺がゆるんだ・・・何年ぶりだろう?

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<論説コラム>★In My Life with The Beatles(No.1)ビートルズを聴いて涙腺がゆるんだ・・・何年ぶりだろう? | CBC論説THEコラム | CBCテレビ


★In My Life with The Beatles
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(No.1)

米国の有名音楽誌「ビルボード」がこのほど、ビートルズの「The Beatles(通称ホワイト・アルバム)発売50周年特別リメイク盤」を、2018年に発売された再編集音楽アルバムの最優秀作品に選出したというニュースが流れました。遅まきながら、この50周年記念リメイク盤を買い求めて聴いてみました。何年ぶりでしょうか?ほんとうに久しぶりのことでした。ビートルズの音楽を聴いて、心が震え、涙腺がゆるんだのです。

■円熟期のビートルズ作品

ビートルズの現役時代、1968年に発表された「The Beatles」という2枚組のLPレコードは、ジャケットが真っ白というシンプルかつ奇抜なデザインだったことから、通称ホワイト・アルバムと呼ばれています。前年の1967年、ビートルズが発表した「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブバンド」は、ロック音楽史上に金字塔を打ちたてた作品として世界中から高い評価を受けていました。独創的なアイデアに満ち溢れ、サイケデリック・アートという色彩豊かな芸術文化運動とも連動した、きらびやかなサウンドに、多くのファンが魅了され、音楽評論家も称賛しました。

■4人がバラバラで散漫なアルバム?

しかし、「サージェント・ペパー」の後のビートルズは、4人のメンバーが、それぞれ自由なミュージシャンとして奔放に振る舞うようになっていきます。自分たちのレコード会社として「アップル・レコード」を設立。そこから発売する初のアルバムとして、1968年5月から制作に取り掛かったのが、この通称ホワイト・アルバムでした。

4人のメンバーは、バンドとしての一体感よりも、自分のやりたい音楽に興味を注ぎ、ロンドンのアビーロード・スタジオでも、同時に2カ所、3か所とスタジオの部屋を抑えて、それぞれのメンバーが別々のスタジオで録音をしていたと伝えられています。レコーディング・プロデューサーのジョージ・マーチンや録音技術者たちは、複数のスタジオを行き来しながら、彼らの提案、要求、相談に寄り添い、そして、わがままにも付き合う、という大変な苦労があったに違いありません。

そして、「The Beatles」通称ホワイト・アルバムは、1968年11月、待望のアップル・レコードから、ビートルズとしては初めての2枚組LPとしてリリースされました。しかし、やはり「4人がバラバラで、内容も散漫なアルバム」などといった批評が多く、評判はあまりよくありませんでした。

■最新の録音・編集技術で蘇ったビートルズ・スピリット!

 そして、昨年の秋、現役時代のビートルズのレコーディング・プロデューサーとして活躍したジョージ・マーチンの息子、ジャイルズ・マーチンが、プロデューサーを引き受けてリリースされたのが、ホワイト・アルバム発売50周年記念特別リメイク盤。1968年発売の旧盤ホワイト・アルバムと聴き比べると、明らかに音質が違います。
ジャイルズ・マーチンは、アビーロード・スタジオに保存されていた原盤の音源を、最新の録音・編集技術を用いて再構築し、4人のビートルズと、5人目のビートルズとも言われる、当時のレコーディング・プロデューサーで、ジャイルズの父、ジョージ・マーチンが、このホワイト・アルバムで究めようとしたビートルズ・スピリットを、現代に見事に蘇らせました。まるで、アビーロード・スタジオの中に招き入れられて、彼らの生演奏をその場で聴いているような艶やかな音質で、心を揺さぶられます。

■思わず涙が・・・

スタジオの中で、4人は、バラバラどころか、真剣勝負で演奏に打ちこんでいる姿が目の前に迫ってくるのです。ジョージ・マーチンも、プロデューサー、さらにアレンジャーとして、ブラスセッションやストリングスのアーティストたちを指揮したり、自分自身もピアノを弾いたり、レコーディングに前のめりで参加している光景が走馬灯のように思い起こされ、聴き進むにつれて、私は、感情が高ぶって、思わず涙が込み上げてきたのです。
ビートルズの音楽を聴いて、涙がこぼれるなんて・・・何年ぶりでしょうか?中学生の頃以来のことでした。

■最もビートルズらしいアルバムだった!

ホワイト・アルバムについては従来、4人がバラバラで内容も散漫・・・という評価が多く、私自身もそれに近い感覚を抱いていました。しかし、今回、この新しいホワイト・アルバムを聴いて、考えが変わりました。円熟期の4人が、のびやかに自由奔放に振る舞うと同時に、プロデューサーのジョージ・マーチンも、愛をこめて彼らをサポートした、最もビートルズらしいアルバムだったのだ!と。
旧盤と新盤で最も音質の違いが際立っていると感じる点は、ジョージ・マーチンがアレンジャーとして加えた弦楽器やブラスセッションの音色が、新盤では、素晴らしく艶やかに浮き上がっていることです。新盤をプロデュースした、ジョージ・マーチンの息子、ジャイルズ・マーチンの、父親へのリスペクトが読み取れました。

■デッサンも芸術作品のレベル

ホワイト・アルバムの本格的なセッションに入る前に、ジョージ・ハリスンの邸宅に集まって、曲想を練り、アコースティック・ギターで、デモ・テープ作りをした際の音源も、このリメイク盤で聴ける大変興味深い作品群です。これは、私の知り合いのビートルズ・マニアの方いわく、「画家でいうと素描かデッサンみたいな感じですね」とのこと。これが実にシンプルでカッコいい!画家でも、ミュージシャンでも、才能あふれるアーティストのデッサンは、すでに芸術作品として鑑賞に耐えうるレベルなんですね。

CBCテレビ論説室 特別解説委員
後藤 克幸

画像:アビーロードスタジオ(C)CBCテレビ

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